《視点》処分と向き合う

2021/10/15 06:23 更新


 「いらなくなった古着を途上国に送る。その〝善意〟が現地の産業を破壊してきた」とは、フリーランス国際協力師を名乗る原貫太さんという方のツイートだ。先進国からウガンダに届いた古着の山の写真を添え、「かつては繊維産業が盛んだったが、古着が輸入されてからは衰退した」という現地の仕立て職人の言葉を記した。

 このツイートは話題になり、投稿から約1週間で、いいね8.5万件、リツイート3.1万件、引用ツイート1751件となっている。原さんは、「私たちの寄付は本当に役立っているのか? 終着点を知らない人が多すぎる」と指摘する。

 寄付の善悪の判断は難しいが、背景にこうした問題があることは正しく知っておかなくては、と身が引き締まる思いに駆られた。

 このほど、自社製品の回収・修理・再販売と、再販売できない製品の再資源化を始めたオールユアーズ代表取締役兼製品開発総責任者の原康人さんは、「物を作る以上、処分としっかり向き合う必要がある」と提起する。不用になった衣料を爆弾ゲームのように他者に委ねることが持続可能な取り組みかどうか、再考すべきだろう。

(友)



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