ネットでは味わえない熱や気遣いで顧客の気持ちつかむ
417・エディフィス新宿店 関根拓也さん
別のカジュアルショップで6年勤め、その後靴磨き屋でシューケアを1年間学び、14年9月から現在の店舗で働いている。前職の店ではこだわりのアメカジが主力で、仕入れブランドの歴史や特徴などをしっかり伝えられる商品知識は必須。加えて得意技がなければ、実力派ぞろいの先輩販売員の中で顧客を獲得するのは難しい。
そこで自己流のシューケアを接客時に顧客に披露するようにしたところ、顧客が100人まで広がった。「モノがあふれ、ネットでも買える。そんな中で大事なのは接客時にお客様に伝える販売員の熱っぽさ。お店のだいご味を提供することが何より大事」。そこまでするのは、かつて自身がプライベートで利用する店で「そこの販売員さんの商品知識、会話力に魅了された」から。「服っていずれは捨てるでしょう。でも自分はその人から買った服は捨てられない」。
「自分は決して会話が上手な方じゃない、でも年賀状をお送りするとか、その日の天気がどうなるか考えながら接客するとか、思いつく限りの自分の出来ることはすべてしよう」。いったん接客の現場を離れ、靴磨きの専門職として修行したのも、自分だけの得意技をさらに磨くためだったわけだ。
ところが、現在のショップでは本格靴の扱いはそれほどなく、ケアの腕の見せ所はほとんどない。そこで、前職の店で「何を買ったか、どんな格好でいつ、来店したかすべてデータを取っていた」という分析力を生かした接客で現在は勝負している。
前の店と現在の店では扱い商品は違う。それでも「店にお見えになったお客様のスタイルや来店時間、何を見ているか、声を掛けた際の反応で、ある程度何を探しているか読める」。実際、働き始めてすぐに個人売り上げは店でもトップクラスになった。これからも「お客様に良い意味で、驚きを感じてもらえるよう、接客力を磨きたい」という。
(繊研新聞2016/01/01付 19384号掲載 肩書は取材当時のもの)
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