夢ややりがいを持ってファッション業界に入社してきた社員。新たな環境に慣れながら思いを貫くために業務に取り組んでいる。各社は入社からのスキルアッププランや希望職への転属制度なども充実してきている。4年目までの若手社員に話を聞いた。
思いを伝え続ける 拒まずに挑戦
短期大学で服飾を学び、20年9月に新卒入社した大鷹星(あかり)さん。半年ほど販売スタッフを経験し、社内公募を受けて21年3月にウェブ事業部に異動、22年9月に現職のジーナシス営業部ECに就いた。就活時は高校時代から大好きなジーナシスで働きたい思いを胸に、アダストリアを志望。服の買い物でウェブを頻繁に活用していたため「ECで物を売ってみたい」考えもあった。
目標に一歩ずつ
社内公募はウェブ事業部でのデータマーケティングだった。レビューを分析して数値化し、商品企画やブランド戦略に役立てる業務内容に興味を持った。何よりも「ジーナシスでECを担当する」目標に近づける期待が膨らんだ。
現在は、サイトの運用に携わり、他社モールの商品詳細を作成する。ブランドの各担当者と連携し、MDにどのように商品を売ってほしいかを聞いたり、デザイナーに素材やデザインの特徴を確認したりして商品知識を補って作り込む。掲載する画像は月に一度、社外に出かけて撮影し、自身がモデルになる場合もある。
実店舗とは違い「見えないお客様に商品を販売する」難しさを感じる一方、ウェブ事業部で養った知見が自身の強みとして生きる。レビューを分析しながら、客の心に何が響いているのか、何を知れたらうれしいのかとの視点を常に大切にしている。
現職で仕事をして半年ほど。学びが多い半面、「ウェブは今後広がる分野。今の学びが将来絶対に生きると思えることがモチベーション」だ。ECの来店動機にはサイトの見やすさが大事と、日々ウェブデザインの勉強や研究に余念がない。
ブランド愛深まる
入社してからを振り返れば「描いていた以上に自分の好きなことができている」。入社時の目標を達成できたのは、思いを声に出して周囲に伝え続けたから。部下の働きを見て、手を差し伸べ、チャンスを与える社風も大鷹さんを突き動かす。好きなブランドに関わり、自分が考えたものがウェブ上で形になる喜びは大きい。
変化もある。学生時代はジーナシスのEC担当がゴールだったが、「物を作ってから販売するまで幅広く知りたい」と思うようになった。きっかけは、ウェブ事業部からジーナシス営業部への異動。ブランドがどのように物を作り、店舗に展開し、VMDを表現しているのか「見え始めた」のだ。「色々なセクションに拒まずに挑戦したい」。そんな気持ちが、ブランドへの愛を一層深めている。
■入社時期は4月と9月の選択式。店舗での販売経験からキャリアを始める。社内公募制度を活用し、本部に異動する場合もある。対象は応募内容によって社歴の浅い社員や時短で働く社員まで幅広い。
(繊研新聞本紙23年4月12日付)