投資会社のマイルストーン・ターンアラウンド・マネジメント(MTM、東京)がヤマトヤシキ(姫路市)の事業スポンサーとなり、MTMの早瀬恵三社長がヤマトヤシキ代表取締役に就任、伊角賢一取締役社長との新体制のもと、百貨店の再生に動き出している。MTMが百貨店に投資するのは、ななっく(旧中三盛岡店)に続いて2件目。投資の背景や再生に向けた考え方などをMTMの早瀬社長に聞いた。(吉田勧)
「食」は重要なツール
――なぜ、ヤマトヤシキのスポンサーになったのか。
この4~5年の戦略として地方の商業施設やホテルに的を絞っています。中核都市の中心市街地にある商業施設などは、日本の中で一番浮上する可能性が高いと考えているからです。成長機会が多い。客観的に分析すると論理的に導き出せます。一つ挙げるとすれば、不動産のコストが東京と姫路では10倍ぐらいの差があるとしても、購買力の差が10倍ということはありません。観光というトッピングを除いたとしても、それは同じです。
地方の商業施設やホテルに共通しているのは「拠点化」ができること。人が集まるハブになることができます。ヤマトヤシキには1日約6000人が来店しています。実用的な機能がなければ人は集まりません。これだけのファシリティー(施設・設備)はそう簡単にはできません。所得や人口減少の問題もある中で、年率5~10%といった高い成長を考えているわけではありませんが、今より売り上げを伸ばすことができると思っています。
時間を消費してもらえる心地良い空間といった拠点作りの考え方で、内容的なリエンジニアリングをしていきたい。その点で「食」の位置づけを重視しています。例えば産直の食品をそのまま販売するだけでなく、加工する、スイーツに使う、あるいはカフェなど飲食で提供するなど多様な形態で活用できます。非常に重要なツールと捉えています。
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