シーズンMDを見直し
店頭鮮度高めプロパー消化率向上
ユナイテッドアローズ社長 竹田光広氏
上期(14年4~9月連結)は、増収ながら減益を強いられた。夏セールの不振と円安による粗利益率の低下が響いた。外的要因だけでなく、消費環境の変化への対応が遅れたと分析、商品企画と店頭での販売の連携を点検し、再強化する取り組みに下期から着手した。15年はその成果を出す年と位置付けている。
■増税の影響大きく
――上期は増収減益となった。
増税による落ち込みは4、5月までは想定内だったのですが、6、7月のセールが言いたくはないですが、かなり厳しかった。また、お客様の反応がガラッと変わったことを痛感しました。昨年は特に、マークダウンをやっても響かなかった。
考えてみれば、過去5年くらいの間にお客様のセールへの期待度は薄まってきていた。一昨年からセール期にもプロパー商品が売れる傾向が顕著になっていましたし、期中対応の売れ筋を含め、セール期に段階的に値下げしても、食指が動かない。価格に対する信頼がなくなっていると思います。
やはり消費増税のインパクトが大きかった。インフラコストが上昇している。株高や所得上昇の恩恵を受けたのは人口の一握りで、大半のお客様の収入は横ばい。この影響が出た。秋以降はさらに円安も加わり、増税分に円安のコスト上昇が上乗せされている格好です。
――下期以降の対策は。
外的要因より、我々のお客様の気持ちの変化への対応が遅れたと分析しています。期中対応を重ねてセールで売る、という仕組みが通用しない。一昨年からの円安の中で価格と価値のバランスを見極めつつ、素材のグレードを上げるなどして、価格を上げたつもりが、商品の進化が十分ではなかった。
販売と商品企画の連携が緩んだ。自分たち目線で、値上げ一つとっても丁寧ではなかった。販売からの声を反映する部分と、半歩先の提案をする部分、このバランスが崩れ、市場の同質化に足元をすくわれた。
消費環境が厳しい中、お客様のマインドも今までになく変化していますし、こうした動向に改めて目線を据え、商品企画と販売の連携をもう一度見直しています。
■シーズンを6から8に
――具体的には。
シーズンMDを春夏から見直します。シーズンを6から8に細分化することにしました。6回ではそれぞれの商品のライフサイクルが長い。売れ筋を追加すれば、いつ来店しても同じ商品ばかりという状況になる。八つに区分し、季節ごとの商品の販売期間を短くし、毎月来店するお客様に店頭に鮮度を感じていただけるようにする、ということです。
細分化するシーズンをカバーできる生産体制の再構築も必須ですが、セールによる値引き販売が減れば、粗利益率は高まるので、仕入れが多い業態、SPA(製造小売業)に近くオリジナル商品の比率が高い業態のそれぞれで、強みをあらためて分析し、プロパー消化率の向上に取り組む考えです。
――昨春スタートの新規事業は。
昨秋の段階でいったん出店を抑制する判断をしました。まだ店数も少ない現時点で、立地特性に合わせた商品企画を確立することが急務と考えたからです。
「アストラット」は春夏からモードテイストは残しつつ、サイズ、シルエットに幅を持たせる、「ボウ&アローズ」は、百貨店という立地に合わせたMDを強化していくなど修正を加えています。他の新業態も同様です。すぐに、とは言えませんが、いずれ数字が上がってくると思っています。