【サンフランシスコ=立野啓子通信員】アメリカンイーグルアウトフィッターズ(AE)はニューヨークのデザイナー、トッド・スナイダーとの間で、プレミアムメンズウエアの「トッド・スナイダー」とビンテージタイプのスポーツカジュアル「テイルゲート」を持つテイルゲート・クロージーング・カンパニーを1100万ドルで買収・合併することに合意したと発表した。これにより創始者でクリエーティブディレクターのスナイダー氏は、上級副社長としてAEに参画、グローバルブランド社長チャッド・ケスラー氏の下で働くことになる。
ファストファッションに翻弄(ほんろう)され、14年から「ブランドの仕切り直し」が始まった米国カジュアル業界の中で、AEはいち早く回復軌道に乗ったSPA(製造小売業)。「商品構成の改善」の成果は、ウイメンズとインティメートアパレルの「エリー」から出始めた。
14年度第4四半期は前年同期比5倍近い増益、15年度上半期(2~7月)は、売上高7億9743万ドル(12%増)、既存店売上高11%増、純利益581万ドル(472%増)で、第3四半期も既存店売上高で9%増の予想。
ジェイ・ショッテンスタインCEO(最高経営責任者)は今回の買収にあたり、ユニークなブランドとクリエーティブな能力を評価し、「試行しながら二つのブランドを拡大していく」とコメントした。一方スナイダー氏は、「AEに参画することは、今後ブランド成長の強固な基盤となる。新しいテイルゲートの店舗のコンセプトは、AEのジーンズやアパレルを一緒にした商品構成で、(店舗のある)大学の中でユニークなライフスタイルを提案できるようになる」とした。現在アイオワ大学の店舗とオンラインで販売しているが、全米の大学に200店まで開店する予定があるという。
スナイダー氏は、97年にテイルゲートを創立、2011年に「トッド・スナイダー」を立ち上げ、14年に渋谷に「トッド・スナイダー・タウンハウス」の旗艦店を開店した。この間、ポロ・ラルフローレン、ギャップのメンズディレクター、Jクルーのメンズ上級副社長も務めた業界のベテランである。今回のAEのブランド買収は、ファストファッションとの競合などから閉塞感のある米国カジュアル業界に新風を吹き込む契機となるかもしれない。