ANA 日本で初めて客席に貨物を搭載 中国からの緊急輸送ニーズに対応

2020/04/23 11:50 更新


 ANAとANAグループで国際宅配を取り扱うOCSは4月22日、日本の航空会社として初めて旅客機の客席への貨物搭載を実施した。すでに実施している客席上部の手荷物スペースへの貨物搭載と組み合わせて、客室全体を貨物スペースとして活用すれば、従来の床下の貨物室にのみ搭載する場合と比較して最大1.4倍の重量の貨物輸送が可能になる。まずは上海発羽田行きの路線でこうした貨物輸送を続け、需要動向を見ながら対象路線を拡大する。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国の入国制限などで、世界的に旅客便が大幅に運休・減便している。特に4月は9割の便が運休しており、国際航空貨物の輸送スペースは圧倒的に不足している。

 各航空会社は貨物便をフル稼働しながら、乗客を乗せずに旅客便を就航して貨物を輸送しているが、旅客便の貨物スペースには限界がある。一方でマスクやアパレル、ECといった小口貨物の緊急輸送ニーズが高まっているため、旅客便の客席を活用した貨物輸送を実施することにした。

 今回輸送したのは、マスクなどの医療関連物資のほか、衣料品や雑貨関連などの商材が中心。客席に約180個の段ボールをシートベルトなどを使って固定して、計1.9トンを運んだ。「大きな貨物は搭載制限上難しいが、手で持てる段ボールであれば機材の限られたスペースを有効活用できる」(OCS)とする。

 新型コロナの終息が見通せないなか、航空会社の旅客便運休の状態はしばらく続く見込みだ。ANAは国際貨物の輸送力確保のために、機動的に臨時便やチャーター便を就航させ、緊急輸送ニーズに応える。OCSも「ANAとともに国際線のスペース確保に工夫を凝らし、取引先に安心して利用してもらえるサービスを続けたい」としている。

客席に貨物を搭載するのは日本初の取り組み
手荷物スペースも有効活用する

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