85年に創業した丸昇(愛知県蟹江町)は、定番のラバープリントだけでなく、ひび割れたようなクラック加工などの手の込んだビンテージ加工から、最新のインクジェットプリントまで、約120種類のプリント技法を持つ。プリント加工の技術開発やデザイン提案力を強化し、会社の業績を伸ばしてきた。企業理念の一つにあるのは「従業員の幸せ」。この企業理念を考えるに至った安藤明弘社長の転機と今の思い、新たに挑戦している事業について聞いた。
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自分さえ頑張れば良いと思っていた
――入社当時の状況は。
02年当時の売上高は1億2000万円ほどでした。国産カットソー製品は海外生産に押され、周辺の同業者も減っており、危機感がありました。自分が頑張らねばと思い、プリント技術の開発と取引先の新規開拓を進め、5年後には売上高2億円まで持って行きました。
当社の強みはプリント技法の多さです。他にない特徴的な技法を多数開発し、サンプルを持ち東京に営業して回りました。
その後も売上高2億円を維持しました。当時は現状維持で良いと思っていたんです。それ以上会社を大きくするのはリスクと考えていました。自分さえ頑張れば良い。「俺が引っ張っていく!」というタイプでした。
ところが、12年ごろに無地のデザインがはやり、仕事が減りました。取引先である高価格帯のブランドは春夏向けのプリントTシャツのバリエーションが減り、プリントでもワンポイントのシンプルなものになりました。当然単価は下がり、受注量も減ります。
――初めての経験だった。
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