Webの集客って具体的にどうしたらいいの?
第1回~3回では、ECサイトを始める前の下準備についてお話してきました。そして今回からはWebサイトを構築した後、どのように運用して集客したらいいのか?についてお話し致します。
*ふかじ先生の過去ブログはこちら
◎SEOって何?ソーシャル運用って何からしたらいいの?
Webサイトに集客する際に、超ざっくり経路を分けると「検索エンジン」から入ってくるものと「ソーシャルメディア」から入ってくるものに別れます。
・検索エンジン→GoogleやYahoo!のトップから検索窓にキーワードを入れ、出てきた検索結果からサイトへ流入という流れ
・ソーシャルメディア→TwitterやFacebookにてサイトのURLを投稿し、そこからユーザーをサイトへ送客するという流れ
Web担当者が集客する際に注意すべきはまずこの2点になります。ではまずこの検索エンジンにまつわるSEOのお話からしていきましょう。
◎「検索」から集客するには?
Webに詳しくない人でも少しくらいは聞いた事のあるSEO(Search Engine Optimization)という言葉。上記でも記載していますが、大切なのはユーザーがどんな検索行動で自社のサイトに入ってくるかを予測した上でサイト上の記事を更新しなければなりません。例えばデニムに強みがあるブランドなら、
①デニムに関する記事をたくさん更新する
↓
②デニムに興味・関心のあるユーザーが「デニム 色落ち」や「デニム リベット」などのキーワードで検索
↓
③ユーザーの検索結果に自社サイトの記事が表示される
という流れでサイトへの流入を促しブランドの認知拡大、もしくは注文までを狙います。これを見るだけなら「集客って意外と簡単かも?」と思う人もいるかもしれません。
しかし実際にはそんな簡単にはいきません。何故ならWebサイトなんて既に無数にありますから、似たような記事はもう存在している事が多い。そんな中、後発で自社サイトがユーザーから選んでもらえる可能性ってとっても低いのです。
検索エンジンを使った事がある人ならおわかりでしょうけど、検索したら何十万ページも結果が出てくるにも関わらず、ほとんどの人が1ページ目の表示だけで用が済んでしまいます。
という事は1ページ目に出て来なければその時点で大量のトラフィックを狙う事が難しい。そして1ページ目に出てこさせるには、数十万、数百万ページにも渡るライバルの上にいかなればなりません。
どのような要素で検索順位を上げる事ができるのか?なんですが、このアルゴリズムも日々変わっております。ですから運に作用される部分も多くあるのですが、Web担当者ができる努力があるとしたらそれは更新する「コンテンツの質と量」でしょう。
古くから運用されているサイトが有利なのは、まずコンテンツ量が担保されやすいからです。ページ数が多いとその分拾えるキーワードが多くなりますし、サイトとして評価されやすい。
あまり褒められた事例ではありませんが、以前Webメディアの「MERY」が別のサイトから模倣した記事でコンテンツを量産し、トラフィックを向上させていた事からもページ数はある一定の結果を残す事は明らかでしょう。
しかし闇雲にコンテンツを増やせばいいのかと言いますと必ずしもそうではない。それがコンテンツの質というお話につながります。ユーザーにとって有益である情報が掲載されていると判断された場合は、コンテンツ量が少ないサイトでも検索上位に食い込む事例は多々見受けられます(僕はSEOの専門家ではありませんのでこのあたりはざっくりですみません)。
◎ファッションブランドとして良いコンテンツとは?
上記以外に、ブランドとしてコンテンツ制作において気をつけなければならない点があります。それはどのようなブランドとしてユーザーに捉えられたいのか?という事です。
第二回でも触れていますが、ブランドにはそれぞれ体現したい世界観やコンセプトがあります。これがコンテンツ制作する際の指標であり、ヴィジュアルの作り込みや記事のライティングもこれに沿って実行されなければなりません。わかりやすい事例では「土屋鞄」がコンセプトに沿ったコンテンツ制作を上手くやっている印象です。
“人の手のあたたかさの中で、うまれて、生きる鞄を。
1965年に、ランドセルづくりから始めました。
子どもたちの6年間を支える鞄。
土屋鞄はそこに思い出が宿ることを、いつも考えています。
そのためには丈夫でなくてはならない。
時が経っても、持ち主に似合うデザインでなくてはならない。
この想いをもって、私たちは大人が持つ鞄をつくり始めました。
鞄としてただ機能するだけでなく、
ずっと、思い出のうつわとして、あなたの傍らにいられるもの。
そして使っていくうちに
相棒のような
家族のような
親友のような
あなたにとって、普通で、欠かせない存在になれたなら。
そう願いながら、一つひとつを丁寧に、人の手で。
良質な革素材と手仕事に、
想いを込めてつくっています。”
上記がブランドコンセプト。そしてコンテンツがこちらになります(土屋鞄製造所「革のエイジング」より抜粋)。
こちらでは革のエイジングについて、文字数こそ少ないですがヴィジュアルで分かりやすく表現しています。まさに「あなたの傍らにいられるもの。」をコンテンツで体現しています。それ以外にも、こちらも(土屋鞄製造所「土屋鞄の工房/オフィス」より抜粋)。
こちらでは工房の様子を画像をふんだんに使って紹介しています。ここもコンセプトページにある「工房からメイドインジャパンを届けます。」をヴィジュアルを使って上手く表現しています。地道な作業になりますが、こういったサイト上でのユーザーとの接点においてコツコツとブランドの体験価値を提供し、価値を積み上げる努力が必要なのです。
テクニカルなSEO対策よりも、どんな目的でそのコンテンツを制作するのか?がブランドサイトでは重要です。ブランドのコンセプト・ストーリー・世界観を演出するなら上記のような記事やヴィジュアルの制作。販売を目的とするならLPのように製品の情報量をふんだんに盛り込み、1つの製品にフォーカスしたコンテンツ制作が求められます。
LP(ランディングページ)…ランディングページとは、訪問者が最初にアクセスするページの事。 しかし、一般的に「ランディングページ」や「LP」が指すものは、一つの商品やサービスを売るための一枚の長いWebページになります。
◎重要なのはリソースの確保
外部に委託するにしても自社で担当者がつくにしても、コンテンツ制作には一貫したブランディングプランが必要ですし、担当者はその理解をしていなければ適切にブランド価値が積み上がりません。ですから手順をまとめますと、
①ブランドコンセプト・世界観の確認
↓
②それを指標にコンテンツを企画
↓
③自社と外部業者のリソースを考慮した上で更新頻度を決定
という流れになるかと思います。予算の関係もあるでしょうから、スタート時からいきなり更新頻度を高くしていくのは難しいかもしれません。店舗が多いブランドさんなんかだと販売員の数も多く、その分たくさんのブログ記事を更新する事ができますから、社内のリソースを利用してコンテンツの更新頻度を高く保つ事が可能なケースもありますが。
繰り返しますが、役割を明確にしておかなれけばそのコンテンツが何を狙ったものなのかがぶれてしまい、後々PDCAを回しにくくなります。
・ブランドの認知拡大を狙ったものなのか?
・ブランドの顧客に向けたCRM的な要素のものなのか?
・商品の注文を狙ったものなのか?
ここを明確にした上で制作しなければなりません。様々なコンテンツを用意しておき、どのコンテンツがどういった効果を及ぼしたかを計測する事でクオリティも向上させる事が可能になります。
理論上はこの「コンテンツの質と量」でトラフィック向上は可能ですが、やってみるとこれが意外と難しい。
「リソースが足りずに量が担保できない…」「撮影費用やライティングスキルなど、予算的にクオリティを上げるのが難しい…」「ユーザーの閲覧数や滞在時間が伸びたのに注文に至らない…」
などなど、様々な問題に直面します。これを一つ一つ地道に潰していく事が担当者には求められますし、Webの作業って実はとっても泥臭くて面倒な事ばかりです。Webって魔法のようにあっという間に作業も済んで売上も伸びるイメージがあるのでしょうか、ここの理解がいまいち無いような印象があります。
確かに売れ出すと効率的ではありますが、その為の準備が非常に大変なのです。それらを理解した上で、まず何からなら始めれるのか?を考え、徐々にやれる事を増やしていく。それらを実現する為のリソース確保がコンテンツ制作における最重要項目かもしれません。
そしてこのコンテンツ制作を有効活用するのがソーシャルの運用なのですが…、こちらはまた次回お話致しますので今週はここまでです。しっかり復習しておいてください。