百貨店の春節商戦(2月7~13日)の売り上げは、前年(15年2月18~24日)との比較で横ばいから約50%増の結果となり、引き続き中国人客を中心とするインバウンド(訪日外国人)需要の高さを示した。ただし客単価は減少傾向にあり、客数の伸びでカバーした形だ。花見シーズンの3、4月には訪日客のさらなる増加が見込まれるため、百貨店は購買動向の変化への迅速な対応が求められている。
免税売上高は高島屋大阪店、大丸大阪・心斎橋店が前年の春節時期と比べ約50%増、阪急うめだ本店は約30%増と、特に大阪エリアの好調が目立った。伊勢丹新宿本店、三越銀座店は30%増、松屋銀座本店は20%増、大丸松坂屋の主要店舗(心斎橋店を除く)と西武池袋本店は前年並みだった。客数が各社20~50%増と高い伸びをみせたことが寄与した。
客単価は軒並みダウンした。「客層が多様化し、そのなかで化粧品、食料品などの日用消耗品の需要が拡大している」(各社)、「お土産用に同じ商品を爆買いする傾向から、自分用に吟味して購入する買い方に変化している。時計や宝飾品など100万円以上の高額品の需要は減っている」(大丸松坂屋など)のが要因だ。
訪日客が購入する商品は化粧品が主役。三越、伊勢丹、松屋、阪急などは化粧品の売り上げが2倍以上に伸びた。「若年層の来店が増え、品番指定して買い物に時間をかけない傾向」(阪急)、「基礎化粧品が引き続き強い」(高島屋)という。松屋や西武は昨年に化粧品売り場を拡充したことが奏功して需要を取り込んだ。