FBは人の心を豊かにする産業
今日、多くの企業で入社式が行われます。ファッションビジネス(FB)業界の一員となられた新入社員の皆さんに、心からお祝いと歓迎の言葉を贈ります。
FBと一口に言っても川上の素材企業から小売業まで、規模も大企業から個店専門店まで様々です。どんな企業であっても、人材の確保と育成は企業の成長にとって生命線であり、産業の発展にとっても重要な課題です。しかし、売り手市場といわれる現在の新卒の採用活動では、大手企業を除くと、販売職をはじめとして、必要な人数を揃えることがなかなかできない状況にあります。
「この仕事が好き。あの職種に就けたら」。こうした、あこがれが業界に優秀な人材を呼び込む土台を作らねばなりません。そのあこがれや夢を入社後も持ち続けられるだけの給与や労働環境を、企業側は整備しているでしょうか。そして、ここで働く私たち自身が、当初持っていたはずの「好き」という気持ちを忘れてはいないでしょうか。桜の咲くこの時期は、私たち自身が初心を思い出すべき季節でもあります。
FBは人の心を豊かにする産業です。皆が単に布切れを身にまとっていた時代が続いていたら、心の豊かさは問われなかったでしょう。例えば今は、原料を吟味し、テキスタイルを選び、全体から細部にいたるまでデザインし、着心地に気を配って、届けられる服があります。そうした服は、身に着けた人が、どうすれば喜び、幸せな気持ちになれるかを考え抜いたものであり、人は心を打たれるはずです。
作る人も、売る人も、FBに携わる全ての人が、使う人のことを思う。その連なった思いが商品を通して多くの人に届き、心を満たしていきます。その広がりはとても豊かなものです。
洋服も、アクセサリーも、ハンカチも、ネクタイも、靴もかばんも、原料が製品になり、商品として売られるまでに、多くの人の手から手へ渡されてきたものです。いくつもの国を通ることもある、そんな長い過程の一つひとつの仕事が、消費者の満足のためには欠かせない営みです。
今日、FBの一員として、第一歩を踏み出した新入社員の皆さん。これからの長い道のりの途中には様々な困難にぶつかることもあるでしょう。繊研新聞社は、仕事に役立つ情報の提供を通じて、また、キャリアアップのためのサポートをしながら、常にみなさんの良き理解者、応援団であり続けたいと思っています。
繊研新聞社