消費の盛り上がりが落ち着き、キャンプ用品の在庫調整も長引く。こうしたなか、業界はどうあるべきか。キーパーソンに聞いた。
選ぶ楽しさ、奪わないで
キャンプ料理で話題 お笑い芸人 阿諏訪泰義さん
多くの趣味には「ゴール」がありますが、キャンプにはありません。唯一あるとすれば、本人が楽しんだかどうか。自然のなかで絵を描いても、たき火や料理を楽しんでも何でもいい。色々な可能性がある外遊びがキャンプだと思います。
僕がキャンプを始めたころ(11年前)は、ソロ用の道具が少なく、テントならファミリー向けの大型のものばかり。一人用だと山岳用の軽量タイプが中心で、どれも高価でしたね。しかし、今はソロ用でも1万~2万円のものがあって選び放題。良い時代です。
ギアの種類が増えた一方、キャンプの楽しみを奪うものが出てきているのは考えものです。そもそもキャンプは道具選びが面白いのに、モノをあれこれ選ぶ必要がない「初心者セット」などを置く店があります。あらかじめ麻ひもがほぐされている商品まであって、親切過ぎるのもいかがなものでしょうか。
僕のブランド「ブルーモーメント」のコンセプトは、世の中にないモノを作る、です。例えば9月に発売した鉄製の「野フライパン」。フライパンは取っ手の長いものが多いですが、それだとかさばり、持ち運びしづらい。持ち手の取れるタイプもありますが、外せるゆえに無くしやすいのがデメリットです。そこで内側に折れるものを作ってみました。直営サイトで販売し、おかげさまで売れ行きは好調です。
キャンプ人気は落ちつきつつありますが、人に誘われて連れて来られた人が離脱しているだけで、ワクワクしながら主体的にキャンプに行く人はむしろ増えているように思います。今後は、釣りのように一定のファンがいるジャンルとして定着するのではないでしょうか。商品も、少しくらい値が張ってもこだわりの強いモノなら支持されると思いますね。
うそのない製品を求む
ウェアからギアまで精通 アウトドアスタイリスト 近澤一雅さん
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