拝見!業界各社の忘年会&クリスマス会

2016/12/04 22:18 更新


深まるコミュニケーション、高まるモチベーション!

 早くも師走を迎えて、業界各社の忘年会&クリスマスパーティーが今年も目白押し。ユニークなイベントや、すてきな会場の設定で気分を盛り上げる。社内の部署間や年代を越えてコミュニケーションを深める絶好の機会となっている各社の忘年会にお邪魔しまーす。

■ボンサイガレージ

毛蟹食べてカニバらず! 験担ぎで目標共有

(写真はイメージです)


 BtoB(企業間取引)のアパレル・ファッショングッス卸のオンラインサービスを提供するIT(情報技術)企業、ボンサイガレージの今年の忘年会は「毛蟹(けがに)パーティー」だ。その心は「蟹を食べ尽くして、カニバらない!」(首藤伸治社長)。

 「カニバる」とはカニバリゼーション(cannibalization)を日本語化した表現。市場で自社の製品やシステムが他社と競合したり、既存ブランドのシェアを奪ったりするなどを意味するときに用いられる。

 「蟹を食べ尽くすことで、同質化を避け、独自性のあるサービスを提供する」という験(げん)担ぎだ。首藤社長の出身地は北海道苫小牧市。幼少から蟹を食してきた〝通〟は、「しっかりとした身の付き方や、味の濃さから言って毛蟹が一番」と断言する。食べ方は「手づかみでダイナミック」が流儀。12月中旬の蟹忘年会の開催に備えて現地の漁業関係の友人、知人を通じて「塩水でボイルした毛蟹を40~50杯程度調達する」構えだ。

 この忘年会には社員だけでなく、同社のシステム開発を担う業者も招待する。「当社のオンラインサービスに可能性を感じて頂いて、献身的にシステムを開発してもらっている。同じ目標を目指すチームとして一緒に開きたい」としている。

 首藤社長は「蟹会」を開催するに当たっての留意点も忘れない。「蟹は体を冷やす食材なんです。味も濃いので自ずとお酒も飲みすぎてしまい悪酔いするケースもある」と言う。アルコールは程々にしながら蟹を頬張ることになりそうだ。

首藤社長は北海道苫小牧市出身の”蟹通”
首藤社長は北海道苫小牧市出身の”蟹通”

■マツオインターナショナル 

若手とベテランが交流 会社の理念、到達点を確認
定番人気メニューはエビチリだ!
定番人気メニューはエビチリだ!


 マツオインターナショナルの忘年会は各部ごと、オフィスのフロアごとに開催する。コミュニケーション部の山下明子部長が今年の忘年会で選んだ店は、東京・代々木にある上海料理店「ロバーツ」。本社3階フロアにあるコミュニケーション部や総務部、事業支援本部、海外事業チームなどと合同で11月25日に行った。

 異国情緒あふれる同店には「自社が衣装提供する近隣の芸能事務所のタレントも時々来店する」(山下部長)とのこと。忘年会ではエビチリやバンバンジーなど、中華料理に舌鼓を打ちながら、専務から若手社員まで十数人が年代を超えて円卓で会食することでコミュニケーションを深める。忘年会は若手とベテランの仕事上の意識のギャップを埋める機会になっている。

 IT(情報技術)を生かした業務支援ツールの進歩はこの間、急速に進み、マツオインターナショナルも積極的に取り入れてきた。〝デジタルネイティブ世代〟の若手社員は学生時代からインターネットやパソコンのある生活環境の中で育ってきたのでそれらの職場環境は当たり前だ。

しかし、十数年前までは同社の納品や売り上げの数字管理は全て手書き伝票でこなしていた。月末ともなれば、売り上げの追い込みをかける外回りの営業部員の帰社を夜遅くまで待って、手書き伝票を作成していた。

 「ベテラン社員が当時のことを振り返りながら語ることで、会社の業務内容の進歩を認識できる」。デジタル化によって効率化を進める一方で「物作りには手間や時間をかけることを重視する社の理念を認識し合う機会でもある」と言う。

 忘年会の最後を締めるのは「博多手一本」。15年程前に同社が東京市場を開拓し始めたころの営業部長の出身地が福岡であったことに由来している。忘年会は社の歴史を振り返りながら、今の到達点を確認する場だ。

異国情緒溢れる店内で上海料理に舌鼓を打つ
異国情緒溢れる店内で上海料理に舌鼓を打つ

■ドリーム

サプライズ重視 “社員の喜ぶ経営”を実践
昨年はチーフデザイナーによる腕相撲トーナメントを開催
昨年はチーフデザイナーによる腕相撲トーナメントを開催

 

 レディスアパレル、ドリームのクリスマスパーティーは杉浦教之社長の「サプライズを重視せよ」のアドバイスの下、入社1年目の若手が取り仕切る。来春4月入社の内定者も含めて五つの事業部・約40人が一斉に集うパーティーでは本社、OMM、南船場などの事業所を超え交流が図られる。創業以来欠かさず続けている年末行事はドリームの活力の源となっている。

 恒例の社員同士のプレゼント交換でも趣向を凝らす。全社員を対象に男女に分けられたクジ引きをパーティーの数日前に各人が引いて、引き当てた異性に喜んでもらえそうな品をそれぞれが用意するもの。

「誰が何を、どの異性にプレゼントするかは、当日にならないと分からない」(杉浦社長)お楽しみ企画だ。また、昨年のパーティーでは各ブランドのチーフデザイナーによる「腕相撲トーナメント大会」を開催した。普段は感性で勝負するデザイナーが、その日ばかりは「腕っぷし」の強さを競った。

 参加者の中からベストドレッサー賞やベストスマイル賞を選ぶのは、来春入社の内定者の役割だ。審査過程のなかですてきな先輩社員の人となりをつぶさに観察することで、職場にいち早くなじむことができる。

 ドリームはクリスマスパーティー以外にも新入社員歓迎会、運動会、会社設立記念日にはユニバーサル・スタジオ・ジャパンのセレブルームを借りてのパーティーなど、全社交流の機会を2カ月に1度の割合で行っている。

 杉浦社長は「社員には楽しんで仕事をしてもらいたい。イベントを通じてモチベーションを高めてもらいたい」と強調する。今年のクリスマスパーティーは12月22日に開催する。ドリームは社員の喜びを追求する「エンプロイ・ファン経営」を常に意識し、実践している。

 

昨年はチーフデザイナーによる腕相撲トーナメントを開催
入社1年目の若手社員が仕切り、内定者も含めて盛り上がる

■ファスサンファール

2カ月前からの準備 チームワーク高める
幹事団によるダンスは恒例プログラム
幹事団によるダンスは恒例プログラム

 レディスアパレル、ファスサンファールのクリスマスパーティーへの意気込みは半端じゃない。毎年12月10日前後に開催される70人規模のパーティーに向けて、2カ月前には同社各ブランドから幹事が1~2人選出される。

 そこから、会場のチョイスや予算組み、催し物の計画、準備が幹事団によって着々と進められる。その内容は幹事以外の社員には直前まで非公開が貫かれる。「同僚がさりげなく聞き出そうとしても、絶対に言わないんです」(プレス担当の岩崎純子さん)と幹事団の結束は固い。そして、開催1週間前に、招待状が一人ひとりの社員のデスクの上に置かれ、初めて明かされる。

 昨年はパーティーのテーマを「イマジン・ウィング」に設定し、東京・代官山の高級仏料理店、メゾンポール・ボキューズで行われた。店内のらせん階段を下りると、アール・ヌーボーとモダンな雰囲気が調和した非日常の空間が広がる。フランス・リヨン本店の精神を受け継ぐ名店で、逸品の料理と最高のサービスを受けることで、顧客や取引先に対するきめ細やかな感性を養う。

 パーティーでは1915年以降100年間のファッションの変遷を表したオリジナル映像を流した。また恒例の幹事団によるダンスも披露。三代目ジェイソウルブラザーズの〝シェアハピ〟ダンスが会場を大いに盛り上げた。

 「準備期間も含めて、クリスマスパーティーを通じてチームワークを高めることができる。仕事もパーティーも全力で臨むのはウチの社風。社への定着率も高い」(岩崎さん)と胸を張る。「社員が豊かな発想のもとで共通の目標に向かい、共に働く楽しさ、生きがい、そして、潤いをもたらす」ことを企業理念に掲げる、ファスサンファールの姿を見ることができる。

各自がドレスアップして
各自がドレスアップして

■福装21・鹿島ファクトリー

席順決めず昼から宴会 地場の縫製業盛り上げる
今年は開業1867年の地元老舗ホテルで行う
今年は開業1867年の地元老舗ホテルで行う


 福島県南相馬市の縫製工場、福装21・鹿島ファクトリーの忘年会は毎年仕事納めの12月29日に行う。当日午前中までは軽い作業と大掃除を行い、昼食時に合わせて宴会がスタートする。「全従業員を集めた70人規模の忘年会になるので、開催場所探しにひと苦労します」とは土田拓三執行役員。今年はJR原ノ町駅前にある、開業1867年の地元老舗宿、ロイヤルホテル丸屋で開催する。

 忘年会では参加者全員に当たるビンゴゲームが恒例となっており、笠原忠雄社長はじめ役員が1人1点ずつ用意するテレビやストーブなどの高額景品の当選で盛り上がる。宴会の席順はあえて決めない。「役員が上座にいて社員を下に見るのではなく、役員も宴会場で開いている席を見つけて座るんです。その方が現場とのコミニケーションが取りやすくなるので」と言う。宴会芸では二人羽織りが行われることも。「食べると言うよりも、顔に塗られていますが」とほほ笑む。

 先月末に福島沖にやや高い津波の伴う地震が発生したが「一時的に一部社員は避難したが、安全を確認してすぐに工場に戻ってきてもらえた」と、幸い社員の安全や工場の工場操業に影響はなかった。

 南相馬市では11月20日に、同社を含む地域の縫製企業が集まり企画したファッションショー「福島相双オールファッションチャレンジ」が行われた。縫製業及び地域の活性化を図ることを目的に、地場縫製メーカー8社で設立した「南東北ファッショングループ」が主催したものだ。

 土田さんは、「うち工場の忘年会は、震災以前には140人規模でやってたけど、今は七十数人になった」と言いつつ、「今回のショーなどの催しを通じて相双地域の縫製業を盛り上げていきたい。縫製業の魅力を地元の若い人に発信して雇用を促進したい」と語った。



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