クリテオの調査によると、日本のマーケターの多くがEU(欧州連合)の規制案などAI(人工知能)に関する法規制の動きを注視している。「サードパーティークッキー廃止後の対応に困惑」しながら、「廃止後のAI活用が重要」とも感じている。企業のデジタル広告業務に関わる500人以上を対象にAI活用への意識を調査した。
調査によると、「AI法規制の業務への影響」について、87%のマーケターが「注視している」と回答した。クリテオのディアミド・ギルCTO(最高技術責任者)は、「大きな可能性を持つAIは正しい形で利用されることが重要であり、そのリスクを正しく理解すべき」という。特定のグループへの被害や版権侵害がないこと、AIが作ったことが分かることなどが必要だ。「クリテオは、規制がどう進むか、顧客にどんな影響を与えるか注視していく」という。
インターネット広告業務への生成AIの導入では、68.6%が「導入を進行中」と回答した。ただし「目標達成に向けて順調に進めている」のは17.1%で、51.5%は「進めてはいるが、さらなる議論が必要」としている。一方で、「導入の計画はない」との回答は6.6%であり、9割以上が、導入を進行中または導入意向がある。また、活用分野は「テキスト生成」71.3%、「画像生成」69.6%への期待が高かった。「音声生成」は48.9%にとどまった。
ギルCTOは「技術は突き詰めるとエンドユーザーへの良い体験の提供が目的」という。クリテオは、買い物体験ではユーザーに適した広告を提供するソリューションによる、コンテンツからのキーワード抽出・表示、チャット、商品レコメンドなどにAIを活用している。「ユーザーにはバリューを提供し、小売業者にはさらにリーチできる状況を作ること」という。
グーグルは「24年後半にサードパーティークッキー廃止」を予定している。この廃止への対応には、66%のマーケターが「困っている」と回答した。そのうちの91.2%が「廃止後のターゲティング、トラッキングでのAI活用がより重要になる」と回答している。クリテオはグーグルのサードパーティークッキー廃止発表時からともに、サードパーティーに個人情報を渡さずにユーザーに合った広告を表示する「プライバシーサンドボックス」に取り組んでいる。グーグルの24年4月からの実験に合わせてクリテオも実施する予定だ。「プライバシーに十分配慮しユーザーサポートの準備を進める」という。