3周年を迎えたレディスアパレルブランド「エフィ」が成長している。SNSでの発信力を武器に、期間限定店で顧客接点を強化し、3期目の売上高を前期比約3倍に伸ばした。これまで手に取りやすい価格やデザインを重視してきたが、25年秋冬から素材や製品の質を上げ、海外販売も見据える。
(吉野光太朗)
心の糧になる服を
ディレクターの神﨑蓮音さんは看護師としてキャリアをスタートした。同時期に韓国の大手セレクトショップで1年間ディレクターを務めた後、22年8月に22歳でエフィを立ち上げた。

ブランドを始めた経緯について、「看護実習などで生活が辛いときもファッションだけは自分の味方と感じていた。現代社会で普段の生活がつまらない、苦しいという思いを抱えている人はたくさんいると思う。そういう人たちを救いたい思いで始めた」と話す。
そうした思いから、ブランドコンセプトは「目まぐるしく変わる日々に疲れてしまったり、同じような日々の繰り返しに退屈を感じている人が、身にまとった瞬間から心の糧になる服」としている。「使いやすいけれど、他と違う、5年10年と愛される服を作りたい」と神﨑さんは話す。
フォロワー数30万人超
主にインスタグラムで認知を広げてきた。ブランドのメインアカウントのフォロワーは現在約14万人おり、20~30代を中心に支持を集めている。神崎さん自身、フォロワーが19万人近くいるインフルエンサーだ。顧客の着用投稿を載せる日記のようなインスタグラムアカウント「エフィジャーナル」も運営しており、約1.3万人のフォロワーがいる。
今年は期間限定店を積極開催し、リアルの接点も増やした。3月には渋谷パルコ、4月に阪急うめだ本店に出店した。
アイテムはウェーブやアシンメトリーのデザインが特徴で、ベージュなど淡色のアイテムをメインにしている。最近はブラックカラーのクールなアイテムも増やしている。
25年秋冬のテーマは〝原点回帰〟。展示会場では、滝をイメージした、大きなフリルを配したブラウス(税込み1万6000円)が完成形になるプロセスを展示した。


ウェーブデザインを取り入れたハイウエストデニムパンツ(2万2000円)はストレッチ性があり、ウエストがきゅっとしまってみえる。今季から生地を国産に変えた。このほか、新たにキャップ(2種類、8000円と9000円)も企画した。中心価格はトップ1万円、コートとジャケット3万円、ボトム1万5000円。

販路は自社ECと期間限定店。香りなど五感で感じる空間演出を大切にしており、今後、常設店出店も視野に入れている。