エコ素材、次の一手 秋冬欧州素材見本市から㊤

2019/09/14 06:29 更新


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 欧州テキスタイル企業のサステイナブル(持続可能)な物作りが、次のステージに入った。環境負荷の低減と並行し、バリューチェーンの透明性を確保、発信する取り組みに力を入れている。サステイナビリティーの価値を具体的な数値やイメージで伝え、理解を促し、適正な価格で販売する仕組みを作る。

 このほど開かれた国際素材見本市の仏ブロッサム・プルミエール・ヴィジョン(PV)、伊ミラノウニカ(MU)20~21年秋冬で、有力企業の動きを追った。

(橋口侑佳)

高まる関心

 持続可能なファッションビジネスのあり方を探る動きが広がり、テキスタイル企業ではこの数シーズン、環境に配慮した原料や製法を取り入れた〝エコ素材〟の開発が盛んだ。

 伊のテキスタイル企業が運営するMUは19年春夏展から、サステイナビリティーをテーマに掲げ、伊企業の意識改革に国を挙げて取り組んでいる。サステイナビリティーの視点で開発された出展者の素材を展示する「サステイナビリティー・エリア」も開設。4シーズン目の今回は、出展者の約3割を占める150社強(前7月展比22%増)から1004点(40%増)が集まり、機運の盛り上がりを印象付けた。

意匠のバリエーションもぐっと広がったMUのサステイナビリティー・エリア

 需要も拡大している。伊経済の低迷を受け、足元の販売は勢いを欠くが、多くの出展者で引き合いの強まりが指摘された。「これまでエコ素材に見向きもしなかったブランドも関心を示し始めた」(出展者)という。

 多義的なサステイナビリティーに「まだ何をすべきか混乱はある」(エルコレ・ボット・ポアーラMU会長)が、数年後には本格普及すると見られている。本気度の高い企業は、エコ素材を拡充するとともに、原料や製造工程に関する情報を積極的に開示し始めた。

 主力のラグジュアリーブランドグループでは、サプライチェーンを含む企業活動全域にわたり、温室効果ガスやエネルギー消費などの具体的な改善目標を定めている。「消費者が商品に、より詳細な情報を求めるようになってきた」こともあり、関心と監視の目は確実に厳しくなっている。

発信も活発

 透明性の担保に、環境認証の取得や国際イニシアチブに加盟する動きが活発だ。MUによると、サステイナビリティー・エリアの出展素材のうち、4割近くが繊維製品の安全性を証明する「エコテックススタンダード100」を取得している。続くZDHCは、繊維製造における有害物質の排出規制に取り組む団体だ。同率2位のGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)は、リサイクル製品におけるリサイクル含有物や流通過程の管理などの規格。製造工程に省エネルギーや節水型の設備、管理システムを導入する企業も増えており、ISO(国際標準化機構)14001や生産現場の労働環境などを評価する「エコテックスステップ」の取得も進む。ランク圏外だが、EU(欧州連合)の環境管理監査制度「EMAS」も5%が導入した。

 伊テキスタイル企業は、こうした認証制度も活用しながら、自社のサステイナブルな物作りを積極的に発信している。広告キャンペーンやサステイナビリティー・リポートのほか、デジタル・トランスフォーメーションやブロックチェーン技術を駆使し、新たな顧客体験を提供する動きもある。先進事例を紹介する。

(繊研新聞本紙19年7月26日付)


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