レディスメーカーのエプタモーダは17年秋冬から、クリーンでモダンな大人服の新ブランド「フィルブラン」をスタートする。
有力セレクトショップでの経験が長いフリーMDの河野政洋さんがMDを担当し、エプタモーダのデザイナーがデザインする。大人のための上質でトレンド感ある商品を、買いやすい価格にしているところが新しい。販路は専門店。
フィルブランは、同社が主な対象としている年齢層よりも若いゾーンまでを取り込む。ここ数年で注目されている、セレクトショップで買い物する新しい40代、50代が好むような、シンプルだけれど女性らしさもあり、今の空気を感じるライン。こうした商品は、そのイメージを作る素材の上質さが鍵となるが、同ブランドはそれを追求しつつ、日常に買いやすい価格にしている。
■コートが2万9000円から
初回秋冬のコートは、光沢がきれいなキッドモヘヤを使ったノーカラー、圧縮ジャージーのダブルフェイスでサイドスリット入り、経編み・丸編み融合ニット「バランサーキュラー」でカットオフのままの軽いコーディガンなど。2万9000円からあり、カシミヤ使いで9万8000円。ニットアイテムは、梳毛を使い裾は袋編みでフライフロントのジャケット感覚のカーディガン、イタリア糸でブークレ調に表面加工したプルオーバーなど。中心価格は1万4000~1万8000円。ぴしっときれいなテーパードのパンツ、シワになりやすい素材でシワをそのまま生かしたビッグシャツ、微起毛でとろっとした表情のプリーツスカートなども。パンツは1万5000~1万8000円、シャツ1万3000~1万6000円中心。
■商習慣を改めて
これらの価格は、「これまでのミセス卸の商習慣を改める」(河野さん)ことを目指して実現した。例えば、とにかく(店に)置いてほしいと商品を送り、結局返品になるが、それもコストに入っているような売り方でなく、上質な素材と物作りでこの価格設定であることを説明し理解してもらって、仕入れてもらう。また、その特徴を店頭でアピールしてもらう。そうした営業努力と並行した企画ということだ。
■体形も考慮して
河野さんのセレクトショップの感覚と、これまでミセス向けに培ってきたパターン、ノウハウの融合ももう一つの特徴。9号サイズはセレクト店のサイズ感に近づけ、一方、11号はそのグレーディングでなく、丸みをつけた別パターンにしている。どちらの客も取り込めるようにしている。
ディテールのちょっとしたこだわりも売りで、今回はコートなどにベントのように深く重なるよう入れたスリット、裏側もきれいに見える始末や配色、袖口の剣ボロの位置を前に変えて動くと腕が見えるようにしたものなど。
きれいな光沢のキッドモヘヤのコート