装飾帽子作家の伊藤友香さん アニメ映画のように「多くの女性を輝かせたい」

2025/09/01 11:30 更新NEW!


「1日に3個のペースで作っている」と話す伊藤さん

 「帽子を装飾するのがすごく好き」と話すのは、装飾帽子作家の伊藤友香さん。17年6月に大阪・中崎町で帽子屋「フェアリーハット」をオープンし、百貨店での期間限定店にも力を入れている。

(藤本祥子)

 30歳まで美容師として働き、その後は舞台のヘアメイクや、テーマパークのフェイスペイントとヘアメイクの仕事を経験し、独立した。伊藤さんは「美容師の時から帽子が大好きだった」と話す。

 価格が高くて頻繁に買えなかった自身の経験から、「買いやすい価格帯の可愛い帽子屋ができたら」との思いがあった。

 店を開くきっかけとなったのは、ハンドメイド作家が集まるイベント。装飾した帽子を販売してみると、想像よりも売れた。「アクセサリー作家は飽和状態だったが、帽子はやりたがらないのか作家が少なかった」と当時を振り返る。

アニメ映画のように

 店名は、妖精が女性を可愛く変身させるアニメ映画のように、「一人でも多くの女性を輝かせたい」との意味が込められている。国内の帽子メーカーから仕入れたベレー帽やストローハット、ベースボールキャップなどを使い、レースやリボンなどを手作業で飾り付けた帽子を販売している。

 花や動物などのモチーフが多い。例えば、ピンクの花やリボンを装飾し、つばのふちにパールをあしらったストローハットや、大きめな猫の刺繍ワッペンを軸に飾り付けしたベレー帽などがある。中心価格は1万~2万円で、購買層は30~60代がメイン。シーズンごとにテーマを決めており、25年春夏物の第1弾では、緑とチェックを推していた。

ピンクの花やリボンを飾り付けたストローハット
大きめな猫の刺繍ワッペンを軸に装飾したベレー帽

 飾り付ける位置にもこだわっている。身に着けた人が鏡の前に立った時に装飾が見えるように、少し左前にあしらうことが多いという。好みをある程度理解している顧客や「センスに任せてくれる人」限定で個人オーダーも受けている。

台湾のイベント出店

 店を開業して1年半は通常営業をしていたが、中崎町は買い物より街歩き目的の人が多いため、他にも売り場が欲しいと百貨店の催事にも出店するようになった。19年から、製作に集中できる環境を作るために店舗は予約制としている。代わりに、月2回ほど主に百貨店で期間限定店を開いている。これまで、阪神梅田本店や阪急うめだ本店、名古屋三越栄店、大丸神戸店などに期間限定店を出してきた。

 「コロナ禍で百貨店も閉まって売り場に困っていた時、定期的に購入してくれていた台湾のバイヤーから『帽子を送ってくれたら、売ってあげる』と連絡があり、実際に売り切ってくれた」。海外バイヤーの購入も目立っていたため、日本以外でも期間限定店を出店していきたい考えだ。10月には、台湾で開催する日本人クリエイターを集めたイベントに出店する。

 今後は店舗の運営も見直す。平日はバイヤー向けに商談の機会を設けたり、土日は一般客向けに営業することも視野に入れている。



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