FB業界、本気の飲食事業!!

2015/05/13 09:29 更新


《センケンコミュニティー》独自性と健康志向で客を呼ぶ

 飲食事業を手掛けるアパレル企業が増えています。世の中を見渡すと、新しい飲食店が続々と登場。東京・表参道では飲食店に行列ができ、ラフォーレ原宿2階には数十年ぶりにフードコートができました。

 盛り上がっているとはいえ、アパレル企業が飲食事業を成功させることは容易ではありません。今回は、真摯(しんし)に飲食事業に取り組む企業と各店の看板メニューをご紹介します。

 

今回ご紹介するのは――

  • ★ ベイクルーズ「ルークス」
    ★ TSIホールディングス「ナチュラルクリームキッチン」
    ★ ファッション須賀「カフェマディ江ノ島店」
    ★ マッシュホールディングス「ジェラートピケカフェ・ビオコンセプト」
    ★ メリケンヘッドクォーターズ「鹿鳴茶流・入舩」

★.。:・・.。:*・★.。:・・.。:*・★.。:・・.。:*・★.。:・・.。:*・★.。:・・.。:*・★

ベイクルーズ「ルークス」
コーヒーからロブスターロールまで幅広く

 00年にスタートしたハンバーガーに始まり、パンケーキ、カレー、カフェと様々な飲食事業を運営するベイクルーズ。「店を作る際、服だけでなく、何か別の新しいものを置けば、もっとお客様が来てくれるかもしれない」との思いがきっかけでスタートした。現在は、ファッション小売りに並ぶ同社の主力事業だ。

 「国内外で見つけた格好良いな、と思うモノを店でお客様に紹介するのがセレクトショップ。飲食も根っこは同じ。『これはおいしい』と思うものをやる」と飲食事業を統括する野田晋作取締役。「やるからにはファッションの『ついで』ではなく、収益事業として持続成長できるビジネスを目指している」と言う。

 ここ数年は自社で開発した業態だけでなく、仏パリのブーランジェリー「ゴントラン・シェリエ」やアメリカの「ゴリラコーヒー」など欧米で人気の飲食店を日本に導入する事業も多く手掛けるようになっている。「自社開発した事業を含め、行列の出来る人気店もあり、商業施設から出店の引き合いも強い」そうだ。

 4月末には、09年にニューヨークのマンハッタンで創業したロブスターロール専門店の「ルークス」の日本1号店を表参道にオープン。行列が出来る盛況ぶりで、今後「ロブスターをパンに挟んでカジュアルに食べる文化を日本で紹介したい」と多店舗化も視野に入れている。

テイクアウト専門のルークス1号店。オープン前から行列が絶えない
テイクアウト専門のルークス1号店。オープン前から行列が絶えない
  • 〈データ〉
    出店エリア:東京・表参道
    オープン年月:15年4月
    席数:テイクアウトのみ
    ターゲット:ロブスターを手軽に楽しみたいすべての人向け

>>>次は、TSIホールディングス「ナチュラルクリームキッチン」

 

TSIホールディングス「ナチュラルクリームキッチン」
小麦粉、白砂糖、添加物使わず

 アングローバルの「マーガレットハウエル・カフェ」、ナノユニバースのイタリアンレストランなど、グループ会社が多様な飲食店を展開しているTSIホールディングス。「事業領域を生活全般に拡大する」として飲食事業を強めている。トランジットジェネラルオフィスとの合弁会社では、6月に米ニューヨークの人気パティストリー「ドミニクアンセルベーカリー」の日本初導入を控えている。

 そんなTSIホールディングスのグループ会社の一つ、プラックスは4月、健康志向のカフェ「ナチュラルクリームキッチン」を立ち上げた。同社は店舗設計を主力とするが、「店舗作りのノウハウを生かして店舗の運営まで行いたい」(高橋正博社長)として、昨年、カフェ事業に進出した。

 コンセプトは「一生もののさびないカラダを作るおいしい美容食」。全メニュー、小麦粉や白砂糖、添加物を使わず、「体に優しい」米粉や糀甘酒、てんさい糖を用いる。

 1号店を開いたのは、今や「スイーツの激戦区」と言われる東京・表参道のジャイル。激戦区で実績を積み、今後はデパ地下やSC、ファッションビルへの出店を計画する。

ナチュラルで心地良い店内の内装は、本業の強みを存分に発揮
ナチュラルで心地良い店内の内装は、本業の強みを存分に発揮
  • 〈データ〉
    出店エリア:東京・表参道
    オープン年月:15年4月
    席数:60席
    ターゲット:女性や子供連れなど

>>>次は、ファッション須賀「カフェマディ江ノ島店」

ファッション須賀「カフェマディ江ノ島店」
地元の食材を絶景ロケーションで

 ファッション須賀は4月、観光地として知られる神奈川・江ノ島にフレンチベースのカフェマディの新店をオープンした。駅から少し離れているが、江ノ島の海を見渡せる絶好のロケーションだ。同店のテーマは「手作り」。同地を気に入った須賀次雄社長自ら先頭に立ち、スタッフとともに汗水流して草刈りやテラスの設営を行った。

 同エリアは外国人観光客にも人気で、オープン以来、地元客に加えて旅行者の利用が多いという。鎌倉野菜を使った看板メニューの「マディカレー」のほか、特産品のシラス入りガレットなど、地元の食材を生かしたメニューを揃える。

 同社の飲食事業の始まりは90年代にさかのぼる。94年、東京・青山に雑貨店を併設したカフェマディをオープン。「ファッションは服だけでなく、生活の中の食器や飲食でも表現できる」という考え方をいち早く実現した。現在、カフェマディを軸に14の飲食店を運営。飲食事業は大変な作業が多いが「アパレルに比べて間口が広く、幅広い層を狙えるのが魅力」だ。6月には中国にプロデュースしたカフェがオープンする。

外には大きなテラス席を用意。江ノ島の海を見渡せる絶好のロケーション
外には大きなテラス席を用意。江ノ島の海を見渡せる絶好のロケーション

〈データ〉
出店エリア:神奈川・江ノ島
オープン年月:15年4月
席数:90席
ターゲット:地元住民、観光客

>>>次は、マッシュホールディングス「ジェラートピケカフェ・ビオコンセプト」

マッシュホールディングス「ジェラートピケカフェ・ビオコンセプト」
安全&おいしいカフェ

 マッシュホールディングスのマッシュフードラボが4月21日、玉川高島屋ショッピングセンターにオープンした「ジェラートピケカフェ・ビオコンセプト」は、おいしい、健康、安全をキーワードにした新業態のカフェだ。有機・特別栽培の野菜を使ったパスタ、オーストラリア産ナチュラルビーフのハンバーガーのほか、旬の果物とハーブのデトックスウオーターはさっぱりしていて食事にも合う。看板メニューのクレープは仏産の小麦粉を使ったもの。

 フードラボは12年設立で、複数の飲食業態を運営する。社長の雨宮龍氏はレストラン業界出身で、ファッション業界が飲食を手がける場合は「プロの人材を入れ、会社組織でしっかりやることが大事」と話す。今回の店も「ジェラートピケだからふわふわした見た目の料理を出すのではなく、あくまで本物のおいしい飲食を提供したい」。

 店内に併設する食物販コーナー「マイビオテーブル」ではビオワインなども販売。オーガニックを気軽に楽しんでもらう。

同じフロアにはマッシュグループのファッションブランドも複数オープンした
同じフロアにはマッシュグループのファッションブランドも複数オープンした

〈データ〉
出店エリア:東京・二子玉川
オープン年月:15年4月
席数:約90席
ターゲット:女性や子供連れなど

 

>>>メリケンヘッドクォーターズ「鹿鳴茶流・入舩」

メリケンヘッドクォーターズ「鹿鳴茶流・入舩」
気軽に楽しむ鹿肉料理

 

 「鹿鳴茶流・入舩」は神戸のメリケンヘッドクォーターズが運営する鹿肉専門レストラン。同社のオリジナルブランドのカジュアルウエアには、自然界で頭数調整のため処分された鹿の革がパーツとして使われる。飲食は革を有効活用する延長線上に、鹿肉まで無駄にせず、社会に循環させる仕組み作りを目指した事業だ。

 他の食肉のように流通していない鹿肉料理を知ってもらうため、街中で気軽に提供するのが狙い。ランチで680円。高級なフレンチなどのメーンディッシュとしてではなく、身近でリーズナブルな和食や中華などの料理に落とし込んでいる。鹿肉はカロリーや脂分が低くヘルシーなだけでなく、鉄分など栄養素が高い。鹿を丸ごと1頭再利用するビジネスモデルは兵庫県のビジネスグランプリで優秀賞に選ばれた。

 鹿鳴茶流の店装はオリジナル中心に販売する「ハイカラブルバード」と共通化しており、「将来はファッションと飲食を融合したショップを開きたい」としている。

欧米にある「少し勘違いした」日本食レストランをイメージしたオリエンタルな空間
欧米にある「少し勘違いした」日本食レストランをイメージしたオリエンタルな空間
  • 〈データ〉
    出店エリア:兵庫・神戸
    オープン年月:13年9月
    席数:30席
    ターゲット:女性および中高年


この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事