《ちょうどいいといいな ファッションビジネスの新たな芽》「YEAH RIGHT!!」 過去と現在をつなげるリメイクという視点

2026/01/30 10:59 更新NEW!


1月に開催した「your right things pop up in Outdated」

 環境配慮や循環といった価値観が社会で共有される今、リメイクやアップサイクルを掲げるブランドは増えています。その先駆けとも言える「YEAH RIGHT!!」(イェーライト!!)は、05年に河村慶太さんと井村美智子さんが、身近にあった古着をリメイクして服作りを始めました。当初から社会的意義を主張することはなく、20年が経った今もそのスタンスは変わりません。年2回の展示会で新作を発表しています。

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ブレがあっていい

 古着を材料にした物作りは、サイズも柄も状態も揃わず、制約が多くなります。「その中でどうしたら自分たちもお客さんも、工場も楽しんでもらえるかなと、模索しながらやってきた」と河村さん。商品作りの手法は様々。独自のパターンをもとに、裁断した古着をあて込みます。見た目は一点物ですが、サイズや丈の長さなどは決まっていて、サンプルを基準に受注を取り、古着の個体差を生かしながら量産します。小回りを利かせ、卸先からの「赤系統の色を使ってほしい」「黒は入れてほしくない」といった要望にも応じます。また、古着そのもののサイズ感を生かして組み合わせる製品もあります。

左は定番の「TABLECLOTH WIDE PT」、右はプリーツスカートを使った「PLEATED BAG」

 古着の仕入れから裁断、組み合わせまで自分たちで完結し、2人だからこその美意識が細部に宿ります。すでにある服が持つ個性を生かし、自分たちの手を加えていきます。古着によって印象がバラバラになるブレが生じますが、「それでいいかなと思っている」。分かりやすい表現が良しとされがちな昨今ですが、「自分たちらしさは分かりやすくなくて、大丈夫」と河村さんは言います。

2人の「視点」で

 イェーライト‼のリメイクは、過去に生まれたものを2人の価値観で現在につなげる「視点」そのものだと感じます。これまで取り組んできたプロジェクトにもそれが表れます。コロナ禍をきっかけに始めた「リ:ライトプロジェクト」は、アパレル企業が抱える余剰在庫の服、サイズが合わないけれど思い入れがあって手放せないといった個人の服を引き受け、価値を再生してよみがえらせています。

デッドストックの生地を使った商品も制作。イベントなどでお客様が喜んでくれるのを目の前で見るのがうれしいと井村さん

 取引先にセレクトしてもらうポップアップショップ「ユアライトシングス」は、新作も過去のアーカイブ商品も等しく扱って販売します。ブランドの過去と現在が混在して新鮮に映り、新しい文脈を持ってお客様に届きます。

 「洋服以外のプロダクトも境目なく横断できる作り方と見せ方ができたら、20年目以降も違う提案ができるかなと、その方向性を思案しています」と河村さん。すでにあるものを引き受け、価値を創造するこれからの展開にも注目しています。

過去のコレクションから 21-22 AW collection “RE:PEAT”

 17年10月にスタートした本連載は、今回で100回目を迎えました。取材に応じてくださった方々、読者の皆さまに感謝いたします。これからも引き続きお届けしてまいります。

■ベイビーアイラブユー代表取締役・小澤恵(おざわ・めぐみ)

 デザイナーブランドを国内外で展開するアパレル企業に入社、主に新規事業開発の現場と経営で経験を積み、14年に独立、ベイビーアイラブユーを設立。アパレルブランドのウェブサイトやEC、SNSのコンサルティング、新規事業やイベントの企画立案を行っている。



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