細尾社長 細尾真孝さん 〝革新こそ伝統〟のスタンスで挑む

2024/03/29 13:00 更新有料会員限定


細尾真孝さん

 西陣織の細尾(京都)が世界から注目されている。12年に「ディオール」の店舗内装に採用されたのを皮切りに、自動車レクサスの内装、グッチの限定バッグと有力ブランドとの協業が続く。08年に家業に入った細尾真孝社長は、西陣の技術を土台にしつつ〝革新こそが伝統〟とのスタンスで挑戦を続け、職人の地位向上を進めながら技術を継承することにも力を注ぐ。昨年、パートナーシップを締結したLVMHメティエダールとは、シルク産業の存続へ向けた取り組みを検討する。

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自らの固定観念を壊し世界へ

 ――世界に広がったきっかけは。

 先代である父が社長の時に海外への挑戦を始め、私が入社した08年以降もパリのメゾン・エ・オブジェ、独アンビエンテ、ミラノサローネといった展示会に片っ端から出展していました。その頃に出していたのは和柄のクッション。帯の32センチ幅を生かすならこれだろうということで西陣織の帯地を使った高級クッションとして打ち出しました。

 欧州などの百貨店からオーダーはもらえたものの、売り上げは1口100万円ほどですから、1年がかりの準備で出展費用も考えると全くの赤字。出費ばかりかさんでいたのですが、08年にパリで開かれた日仏交流150周年記念の展覧会に出したことが転機になりました。さまざまな文化展示の一つとして伝統工芸の枠で当社の帯を出品し、翌年に巡回展が行われたニューヨークでこれを見た建築家のピーター・マリノ氏からメールが届いたのです。

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