合繊広幅織物製造の稲山織物(福井県大野市、稲山幹夫社長)は10月28日に自己破産を申請し、30日に破産手続き開始が決定した。信用情報によると、負債額は10億3000万円。破産管財人には吉川奈奈弁護士(福井、杉原・きっかわ法律事務所)が選任された。
同社は32年に稲山機業場として創業、ユニチカや帝人などの指定工場として受注基盤を確立し、大野市内で工場を拡張していった。ポリエステル織物専業メーカーとしてスポーツ、ユニフォーム向け、婦人服向け薄地織物などを手掛け、93年3月期には売上高28億5500万円を計上したが、近年は取引先の海外シフトなどで業績が低迷し、直近の年商は3億円に落ち込んでいた。さらに原材料価格や生産コストの上昇が重なり、事業継続を断念した模様。