後継者不足やアパレル消費の低迷などで苦境に立つ国内産地。下請け体質から脱却し、自社ブランドで新たな販路開拓を試みる企業が目立つ。アパレル企業で経験を積んだスタッフや異業種の発想・感性を生かし、より感度の高い商品を生み出そうとする動きが新鮮だ。産地間の連携も産業が存続するための鍵になる。
(関麻生衣)
各工程が分業で成り立っている織物産地では、「職人の技術を継承していかなければ産地が続かない」。そう危機感を募らすのはジャカード産地である群馬県桐生市の織物メーカー、須裁だ。2年前に自社ブランド「ジャカード・ワークス」を始めた。
新しい感覚で
糸を織り込んで美しい色や柄を表現するジャカードの技術でバッグやポーチを作り、自社で消費者に届け、産地の技術継承、存続にも貢献する。アーティストや花屋など異業種との協業にも積極的だ。日常で商品を使う場面を広げ、ジャカードに親しみを持ってもらう狙い。販路は海外も見据える。昨年開いた米ニューヨークでの期間限定店が好反応だった。