コロナ禍を経て、再び生地輸出に力を入れる企業が増えてきた。5月に開かれた生地見本市プレミアム・テキスタイル・ジャパンでもアジアからのバイヤーが多く訪れ、出展社からは「洋服にお金をかけるようになっており、レベルの高い日本の生地が注目されている」との声も聞かれた。ただ、一筋縄ではいかないのも事実。例えば欧州ではサステイナブルの観点から、履歴管理やサプライチェーンにおける二酸化炭素の排出量削減が重要になっており、なるべく消費地に近い場所での物作りを求める動きもある。今後、何がポイントになっていくのだろうか。
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ターゲットを絞り
2月に開かれた25年春夏向けの国際生地見本市のPV(プルミエール・ヴィジョン)パリには日本企業が46社、MU(ミラノウニカ)には37社が出展した。中でもPVパリに出展した輸出専業の茅ヶ崎紡織は、綿とウールのギャバジンを中心にラグジュアリーブランドからの高い支持を得ており、現在は「セリーヌ」に300万ユーロ、「ロエベ」に400万ユーロ、「サンローラン」に300万ユーロを販売するなど実績を上げている。
03年に初出展し、今回で37回目という常連だが、最初の4年間は全く振るわなかったという。そのため、高価な日本素材を使えるハイブランドにターゲットを絞り、そこに向けた生地開発に取り組んだ。特に、「量が欲しいなら絶対にギャバジン」と、ある来場者から言われたことが転機になった。
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