軽くて暖か、地球環境に優しい。そんな天然のサステイナブル(持続可能な)素材としてカポック繊維の注目度が高まっている。従来はクッションやぬいぐるみ、救命胴衣などの詰めわたに活用されていたが、合繊わたなどに取って代わられていた。軽くて飛散しやすく、繊維の短さなどから紡績が難しいため、衣料向けも限られていた。しかし、近年の脱石油の動きや紡績技術の進歩などが後押しし、ダウンや合繊中わた代替としてアウター用途が目立ってきた。
(高田淳史)
原産地の支援も
カポックは東南アジアなどに広く原生する樹木。木の実からわたを採るため森林を伐採せず、栽培に農薬や化学肥料を使わないため環境負荷も小さい。繊維が中空構造で綿の約8分の1と軽く、保温性にも優れる。光沢やぬめり感、柔らかさなども特徴だ。活用が広がることで現地の雇用創出や経済振興にもつながると期待されている。ただ、繊維が短いため綿やポリエステルなどとの混紡が必要で、その軽さを十分に生かしきれない課題もある。
日本でアパレル向けカポック繊維の認知度を高めるきっかけになったのが、カポックジャパンによるブランド「カポックノット」。国内大手繊維メーカーとの共同研究でカポックのシート化を実現し、人気が高まっている。販売にとどまらず環境保護や原産地の地域支援などを進める。
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