ユナイテッドアローズの子会社として08年にスタートした「コーエン」は、SCを主販路とするカジュアルブランド。コロナ禍に見舞われた20年以降、実店舗の販売が苦戦していたが、22年4月に経営体制を刷新し、収益性の立て直しに乗り出した。同社社長を務めるユナイテッドアローズの木村竜哉取締役専務執行役員COO(最高執行責任者)は「SCマーケットにはまだ成長性がある」とみる。親会社が打ち出した長期ビジョンで設定した10年後の売上高目標は250億円(23年1月期実績107億円)。再成長に向けた戦略を聞いた。
MDやコンテンツに地域性を
――出店立地であるSCをどうみる。
22年4月の着任以来、全国各地のSCに足を運びました。首都圏や都心部のSCは生活密着型ですが、地方都市や郊外には買い物以外にそこへ行くこと自体がイベントというか、「お出かけ」の場所として機能しているRSC(広域型SC)も多く、地域によって果たしている役割が違うことに改めて気づかされました。
日用品を買い足すための場所ではなく、そこに行くことが楽しいから行く。お客様がそんな風に利用しているSCが、当社がまだ出店していない郊外や地方にたくさんあって、そこには可能性があるのではないかと感じています。
これまでファッション性の高い商品は都心に出かけて買う。日用品は生活圏に近いSCで買う。そういう使い分けがありましたが、コロナ禍に伴う行動制限の中でECシフトが進んだことで、都心と地方や郊外のSCの役割の区分がなくなりました。
今やどこで暮らしても、SNSなどを通じて同じ情報を得ることができます。都市部と郊外や地方で、情報の非対称性はなくなっている。郊外や地方のSCで売る商品も、手頃な価格帯であることに加えて、ファッションとしての感度やお客様の関心が高いライフスタイルとのつながりが感じられるものが、求められるようになっているのではないでしょうか。
――SC市場でコーエンの強みは。
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