ベルリンファッションウィーク“PREMIUM”レポート(宮沢香奈)

2015/01/31 11:47 更新





新年の幕開けと共にフィレンツェのPITTI UOMOからスタートするヨーロッパのファッションウィークだが、その中でも小規模で、他の都市へ行くついでに数日間だけ滞在するという業界関係者も多いベルリンファッションウィーク。

パリやミラノの様なトップメゾンのショーがあるわけではなく、注目度も低い。それでもドイツの国産車であるメルセデスベンツを冠スポンサーに、年2回長年に渡り開催されており、街中が華やぐウィークとなる。


  


 

7月に取材に行ったBread & Butterは、大きく宣伝していたにも関わらず、バルセロナでの開催が実現出来ず、ベルリン市内のショールームで規模を縮小して開催という残念なニュースが舞い込んできたが、逆にPREMIUMは規模を拡大し、連動エキシビジョンであるSEEKとの両会場には、連日沢山の関係者が訪れていた。

   



 

ドイツ発ブランドをはじめ、BLK一色のモード系ブランドが大きくブースを構え、いくつにも分かれたホールには数え切れないほどのブランド数が出展していた。

その中でも、日本から出展&バイイングに来ていたARUNA co,.ltdが取り扱うニットに特化したVENERTAのブースは、とても賑わっていた。国内ではDeuxieme Classeをはじめ、大手セレクトショップをメインに幅広く展開しており、ヨーロッパでは、パリのMerci、ショールームのあるドイツミュンヘンのセレクトショップなどで取り扱っている。

日本ブランド=良質という印象が強く、イメージも良いと聞く。私が訪れた最終日だけでも、スイス、イタリア、韓国などのセレクトショップのバイヤーが次々と訪れ、興味深く話を聞いたり、写真を撮っていた。

カジュアルがトレンドとなっている今、シンプルなシルエット、肌触りの良い柔らかい素材、カラーバリエーションが抱負でキレイ、キャッチーなロゴフォントやメッセージがセンターの絶妙な位置にあるトップスは、どこの国にも響くアイテムなのかもしれない。VENERTAはドイツのショールームと共にヨーロッパ各地への更なる広い展開を予定している。

 


 

ドイツと言えば、職人が作る歴史ある革靴や機能性の高いシューズなどの印象が強いが、STIEBICH & RIETHは、靴以上のこだわりを見せるバッグブランド。丈夫で上質な革をハンドメイドで仕上げており、パッと見ただけで高級感が漂う。ハンドメイドバッグにありがちなクラシカルで堅過ぎるイメージは全くなく、上品な色使いと飽きのこない鉄板型のデザインがとてもステキだった。

いろんなところでも言っているが、ベルリンは流行など全く関係なく、オールシーズン全身真っ黒族の街である。モードでもカジュアルでもBLK。クラブでもファッション関連のパーティーでもアートイベントでもBLK。

そういった中にいると、一体、何がオシャレなのか?何がトレンドなのか?分からなくなる時がある。しかしながら、街の人を意識して、ビビッドカラーを身に付けることをやめるわけでもないし、ミニマルな世界に興味がないわけではない。そもそも音楽の背景はそこにあるのだから。

ファッションにおいては、せっかくヨーロッパにいるのだから、ラグジュアリーはパリで、ストリートはロンドンで本物を感じながら、前衛的で独特なベルリンカルチャーをもっともっと深く追求していきたい思った。


 

 



宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。



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