クラボウの繊維事業部は、伊藤忠商事の繊維カンパニーと戦略的パートナーシップに関する契約を結んだ。両社で連携を強め、環境に配慮した独自の繊維技術を持ち寄り、「新しい商品の開発、ビジネスモデルの創出、新しい価値の提供」を目指す。サステイナブル(持続可能)な社会の実現に向けて繊維業界全体で取り組むため、「アパレルサステナブルコンソーシアム」(仮称)の設立も両社が中心となって行う。
同契約の具体的な内容は、タイで紡績・織布の生産・販売を行うクラボウのグループ会社、タイ・クラボウに伊藤忠が出資し、「グローバルな生産・販売体制の連携を強化」する。これにより、タイ・クラボウは伊藤忠の独自原料と、クラボウの独自技術を活用して新商品の開発を推進する。
例えば、伊藤忠のオーガニックコットンや循環型素材プロジェクト「レニュー」の再生ポリエステル、パルプ大手のメッツァグループ(フィンランド)のセルロース繊維「メッツァ・リヨセル」(仮称)などの原料と、クラボウが開発した裁断くずをアップサイクルする技術「ループラス」、原綿改質技術「ネイテック」、再生ポリエステルを使う3次元構造中わた「エアーフレイク」などを組み合わせる。
アパレルサステナブルコンソーシアムについては、「企業単独の取り組みではサステイナブルな社会の実現が難しく、時間もかかる」と考え、繊維業界全体で取り組めるような枠組みを設立することにした。事務局はクラボウと伊藤忠が共同運営する。今後、繊維業界の川上から川下まで幅広く企業および団体の参画を募り、連携して「3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進や、新しい技術の創出とビジネスモデルの構築、エシカル(倫理的な)消費の促進」という課題に取り組む。