過去を振り返り、未来を見つめる――英リバティは創業150周年を祝い、大阪・関西万博英国パビリオンで展覧会を開いている。保管している約6万点のテキスタイルやアートワーク、資料から300点以上を展示。リバティの伝統や文化を体感できる場を提供した。
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ロンドンのリージェントストリートのリバティ旗艦店で、4~7月にかけて開催した展覧会をもとにした。旗艦店では廊下のスペースも使い、直線的な導線に沿って展示物を配置した。一方、今回の大阪・関西万博では、植物やペーズリーなどリバティを象徴する柄をほうふつとさせるような、有機的なモチーフを随所に取り入れた。1号店が船の木材を再利用して建てられた経緯から、船のイメージも盛り込んだ。空間は建築家のグループが手掛けたという。

「森の中にいるような感覚で、一カ所に立ち止まり、色々な視点でリバティの文化、商業、芸術を見て、感じてほしかった」とキュレーターを務めた美術史家のエスター・コーエン氏は話す。創業時から現在まで活躍する1200人のデザイナーが、新たなデザインの多くをアーカイブから生み出してきた。それらのテキスタイルを見ることができる。創業者のアーサー・ラセンビィ・リバティ氏夫妻が1889年に訪日した際の写真入りの旅行記や、かつて店舗に使っていたタイルなども紹介した。

大阪・関西万博英国政府代表のキャロリン・デービッドソン氏は「リバティの歴史は革新と創造性とともにある。私たちの、小さなアイデアが集まれば世界を変えるイノベーションになるとの思いと共鳴した」と期待を示した。
150周年を記念した取り組みは今後、発展させる意向だ。「未来を考えていくためには、過去を振り返る必要がある。今回の展覧会から学んでいかないといけないことがあると思う」とは、英リバティマーケティング&イベントプロジェクトマネジャーで共同キュレーターのシルビア・スパニョール氏。「ロンドンには素晴らしい美術館や博物館もあり、展覧会はネットワークの広がりにも貢献するだろう。リバティの製品が戦争や紛争で受けた傷を癒やす力にもなれば」と語った。
