中国が毎月発表する社会消費品小売総額で、服消費が9、10月と連続して前年同月比で減少した。コロナ禍の影響だけでなく、消費抑制策が利いていると言われるが、11月に入って気温が一気に下がったから、冬アウターがそろそろ本格的に動くと思いたい。
一方、スポーツアパレルは各種の影響をほぼ受けずに好調が続いている。スポーツが活況なのは「取り扱いが面倒でなく手軽」なため。中国の通勤スタイルは銀行や不動産などの一部職種を除き、実にカジュアルだ。ほぼ毎日着られ、汚れても家庭洗濯ができ、値段も手頃なスポーツブランドを選ぶのはよく分かる。
「レジャー分類であること」を指摘する声もある。中国人の出費の優先順位は、食→住→携帯電話・IT→レジャーとなっていて、衣の優先度は下位。そんな中で、最近キャンプやスキーがブームだ。東北地方ではスキーやスノーボード人口が増え、上海でも屋外スキー施設が期待されている。輸入博では新型レジャー施設を紹介する金融サービスブースが盛況だった。
ある素材メーカーの話も説得力があった。「今は、どの素材メーカーもストレッチ・薄型軽量・機能に集中し、わずかな差別化で注目され、単価が通る。値段に厳しい重衣料向けは開発しなくなる」。素材開発の観点からも、スポーツに追い風なのが分かる。