コロナ禍の渡航制限で、数年ぶりに国内のイタリアンレストランで外食した。ちょっとぜいたくなランチセットは、マリネなど前菜3種にサラダにパスタ、デザートとコーヒーが付いて1500円ほど。品数の多さと価格のバランスに驚き、思わず店の利益率を心配してしまう。
ミラノでランチをすると、パスタだけで10ユーロ前後はする。サラダやコーヒーを付ければ20ユーロ近くだろう。ニューヨークやロンドンでも、ランチを1000円以下で済ますのは難しい。高額なランチでも外食産業が成り立つ要因の一つに、欧米諸国の国民の収入の変化がある。97年から16年までの平均給与の推移を見てみると、日本が約1割減なのに対してフランスや英国は約25%増という。米国や北欧諸国も2ケタ以上の伸びなのに、日本の平均給与が増えていない。
ある自動車評論家は、メルセデス・ベンツはもう日本の一般的なサラリーマンには手が届かない車になったと指摘する。安全や環境への配慮からコストがかかり、同じ車格なのに90年代の2倍近くの価格になったモデルもある。
円安に原油価格の高騰など、物作りに対するマイナス要因が強まっている。高コストをどう吸収するのか。価格へ反映すると、SNSでたたかれやすい時代でもある。しかし、問題の根本は違うところにあるのかもしれない。