《めてみみ》催事契約でも

2021/12/10 06:24 更新


 〝常設〟イベントスペースを開設する商業施設が相次いでいる。広い共用部の活用もあれば、テナント区画の転用も多い。背景にコロナ禍での空き床があるが、催事出店者の確保には、それほど苦労していない。

 数年前にテナント区画を常設イベントスペースにした都心部のSCは、新規や〝リピーター〟で22年3月までの出店スケジュールが全て埋まり、次年度の予約も入っている。別の都心部の施設でも、EC主力の企業などに声をかけると、出店に結びつきやすいという。

 一方、都市近郊の商業施設では、食パンや和洋菓子といった食物販店からの催事出店の引き合いが絶えない。今年、催事スペース数を増やしたある施設は催事売上高・件数ともに大幅な伸び。コロナ禍で都心部での売り上げが落ち込んだためか、都市近郊の商業施設を巡回するように催事出店している食物販店もあるらしい。

 出店者は、顧客や新規客とのリアルでの接点、販売機会を求めている。もっとも、賃貸借契約を結んでの正式出店には慎重だ。コロナ禍で収益が低下し、新たな出店による固定費の増加は重い。スタッフ確保の困難さも大きな問題だろう。催事契約が「双方にとってのテストマーケティング」とすれば、互いに良き結果と良き印象を感じてもらうことが欠かせない。共存共栄の重要性は常に変わらない。



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