大阪府と奈良県の県境に朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)という寺院がある。虎にゆかりのある寺として、特に寅(とら)年である今年は多くの人出でにぎわった。一説によると、聖徳太子がここで戦勝を祈願した際、毘沙門天(びしゃもんてん)王が現れて勝利を得た。それが寅年・寅の日・寅の刻だったことから、寅のお寺さんとして信仰を集めたという。
世界一大きいという張り子の虎、虎の胎内くぐりや虎の石像のほか、奉納された額や石灯篭なども虎だらけである。寺院自身はアピールしていないが、関西という土地柄もあって、阪神ファンの参詣(さんけい)も多いようである。
古い虎の石像は400~500年前に寄進されたものらしい。ちょうど戦国時代の真っただ中。虎の勇武にあやかろうと武将が寄進したものか、戦国の世を終わらせてくれるような百獣の王の出現を願って庶民が寄付したものだろうか。
今年も混沌(こんとん)とした日々が続きそう。年末年始、どんな年になるかと思いを巡らした経営者も多いはずだ。コロナ禍が続く中でも好業績を残した企業が、「騎虎の勢い」を維持したまま、「虎に翼」を生やしたように業績を伸ばすのか、押されがちだった企業が「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とばかりに、リスクを恐れずビジネスモデルを大変革していくか。しばしの正月休みが終わり、再び新たな戦いが始まる。