15カ国が参加するRCEP(地域的な包括的経済連携)が1月1日に発効した。国内手続きを終えた日本や中国、オーストラリア、タイ、ベトナムなど10カ国が先行し、韓国は2月1日に発効する予定。インドネシア、フィリピンなども順次加わる。
日本は積極的に自由貿易圏を拡大してきた。従来は国単位での経済連携が中心だったが、18年12月に発効したCPTPPやEU(欧州連合)とのEPA(経済連携協定、19年2月発効)、今回のRCEPなど多国間連携が長年の交渉を経てようやく結実した。生かさない手はない。
一方、繊維品輸出は振るわない。11年に98億ドルを記録し、100億ドル超えの機運が高まったが、その後は漸減し、19年は77億ドル、20年はコロナ禍が響き前年比15%減の66億ドルと落ち込んだ。21年は前年を上回るが19年水準には届いていない。
アパレル不振で多くの繊維産地が苦戦し、作る機能がどんどん失われている。「日本ならではの技術や生産背景」が残っている間に、価値ある商材を少しでも高く売るモデルに転換しなければ後がない。世界ではインフレが進む。「日本ならでは」「わが社ならでは」。よく聞く言葉だが、売る努力を尽くして世界で「高くても欲しい」と言ってもえるものならば廃れるはずはない。付加する価値が本物か否か、それが問われている。