中国の今年初めの3日間の小売り商況は前年同期比2ケタ増で、「喜ばしいスタートを切った」と現地メディアは形容した。主には映画収入が良く、全国的に活況だったようだ。上海は3日間の消費支出額が270億元(約4860億円)で13%増。市内商圏を訪れた客数は2050万人で、コロナ禍前の9割前後に回復したとされる。
中国では昨年11月ごろから北京の冬季五輪を見据えてウイルス防疫対策・管理が強まったため、上海でも多くの商業施設が客数減や消費意欲減退のダメージを受けていた。加えて21年末から大手IT企業のリストラや、有名タレント・インフルエンサーのライブコマース脱税といった社会問題が購買に影を落とした可能性もあり、年始3日間が盛り上がって「喜ばしい」というのは的を射た表現に思える。
ただし、実際に街を出歩いてみて、それほど活況だったかはよく分からない。周辺の人々に聞くと「感染が心配で外出を全くしなかった」「一家で過ごすための食品しか買ってはいない」と外出や出費に消極的だ。顕著な物価上昇もあってか、若者は「春節(中華圏の旧正月)までダイエット中」と笑っていた。
中国の今年の景気動向がはっきりするのは、2月頭の春節や北京五輪が終わり、オミクロン株による感染がどうなっているかしだいになるのだろう。