全国百貨店の21年1〜12月売上高は、前年比5.8%増の4兆4182億円だった。4年ぶりにプラスに転じたが、91年の9兆7130億円のピーク時に比べて5割を超える減少を強いられた。コロナ禍の影響だけでなく、それ以前からの構造不況が浮き彫りとなった。
19年比では21.5%減で、改善傾向にあるが消費が復調するまでに至っていない。引き続き、外出自粛や時短営業が繰り返され、客数が大幅に落ち込んだ。インバウンド(訪日外国人)需要も依然として厳しかった。免税売上高は459億円(33・1%減)で、過去最高の3461億円となった19年比で87%減だった。
回復基調が鮮明だったのは、ラグジュアリーブランドなどの高額品だ。美術・宝飾・貴金属は25・7%増。都内百貨店ではラグジュアリーブランドの売上高が19年実績を上回った店舗が多い。インバウンド比率の大小で格差はあるが「ラグジュアリーブランドの国内客売り上げが19年比で3〜4割増えた」(都内百貨店)という。
「海外旅行が出来ない」ために海外で消費されていた分が国内に回った。外出自粛で一時的に抑制されてきた反動で「買い物を楽しみたい」との欲求やリベンジ消費が後押しした。高額消費の回復は旅行需要とトレードオフの関係。需要が戻れば反動もあると覚悟する必要がある。