コロナ下でスーツ離れが加速したが、オーダースーツの需要は安定している。青山商事ではオーダースーツブランド「クオリティオーダー・シタテ」を導入する店舗を拡大し、昨年12月初旬で「洋服の青山」で249店(「ザ・スーツカンパニー」を含め294店)となった。レディスの扱いも増やし、110店を超えた。
オーダースーツはコロナ下でも売り上げが前年比2倍超と好調だ。単価は既製服の約1.8倍に上昇。顧客満足度も高くリピート率も向上したという。従来のスーツを求めるボリューム層が減り、ビジネススタイルのカジュアル化に対応するだけでは単価は低下するばかりだった。
オーダースーツは仕組みを導入しただけでは成功しない。店頭で接客する販売員の力が大きい。既製服を扱う際に、正確な採寸や着方の相談までマンツーマンで高度なコンサルティング接客を前提に人材育成を積み重ねていたからこそ、オーダーの接客もスムーズなのだろう。
さらに踏み込んだ人材育成もしている。裾直しなど補正作業のプロジェクトチームを立ち上げ研修中だ。店内での即直しは礼服など急ぎの需要に対応することで売り逃し防止にもつながる。今後、全国の店舗へ拡大する計画だ。接客スキルだけでなく補正の技術を習得することで、現場の対応力にますます磨きがかかる。