猫の額のような家庭菜園を持っている。通りがかりの人に声を掛けられることも少なくない。コロナ下の2年半、散歩を楽しむ人が増えたこともあってか、会話の機会が増えた。かつては年配の人が中心だが、最近は子連れが多い。「昨日よりもトマトが赤くなった」「ナスってこんな風になるの」子供の声に心がなごむ。
人間生活に不可欠な衣食住。物のあふれた日本ではピンと来ないが、着の身着のままで避難するしかなかったウクライナの人々、天災・人災の多いアフリカ諸国などの状況を見るにつけ、衣食住に恵まれた生活がいかに大事かを感じる。
繊維・ファッション業界でも、農業との関わりが注目されてきた。ルミネのアグリプロジェクト、ビームスと農林水産省の協業をはじめ、店舗での野菜販売が増加。愛知県のプリント加工の丸昇のように綿花や野菜などを栽培する農業事業部を立ち上げた企業も。地域活性化策として、農産物や産地衣料をアピールする自治体も目立ってきた。
食の自給率は米が97%、野菜が79%、魚介類が52%(農水省、19年)。改めて衣料品の国産率3%弱という数字のすごさを感じざるを得ない。これから衣料の製造原価はいや応なく上がっていく。今日は野菜の日。食の価格の上昇が衣料業界にプラスとなるのか、逆風となるのかを注視したい。