ファッションアパレル市場の苦戦が続くなか、中国もスポーツアパレルは好調だ。上海に住むとよく分かるが、体を動かすことが人々の暮らしの中に浸透し、ウォーキングやランニング、バスケットボール、スケートボード、高額ギアが必要なサイクリング、トライアスロン、キャンプまで愛好家が多い。
各種スポーツにのめり込むほど、より機能的で快適なシューズが欲しくなるもの。中国の上場スポーツメーカーの上期決算でもシューズの売れ行きは好調で、「李寧」「安踏」「特歩」は前年同期比20~47%増。疫病で店舗に足を運べない環境だったにもかかわらず、強烈な伸びだ。仕事で履く靴が変化しているのも理由だろう。ただ、記者が上海の街中を巡る体験だけでいえば、中国ブランドの店舗に購入客がごった返しているのは見たことがない。
ランニングを日課にする上海の40代男性に中国ブランドのコストパフォーマンスを尋ねたところ、「一度も買ったことがないので分からない」と苦笑い。同世代のシューズの選択基準は、高くても欧米日ブランド。中国産は眼中にないようだ。
ただし「僕らより下の世代は、海外ブランドが多数ありながらも、中国ブランドを意識して買っている」。シューズから見ても、ブランドの浸透には改めて10~20代を考えた戦略が重要になっている。