《めてみみ》リンゴの季節

2022/10/12 06:24 更新


 秋の訪れと共にリンゴが店頭に並び始めた。貯蔵技術や品種改良により通年商品に近くなったが、やはり旬は10~11月の収穫直後だ。既に奈良時代には、中国から渡来した小型のリンゴがあったようだが、今のような大きなリンゴは、明治時代に入って本格的な栽培が始まった。

 統計によると国内生産量は76万トン、10トントラック換算で7万台強と大きな量だ。輸出は3トン、輸入は8000トン前後。典型的な地産地消商品であり、国産比率が2~3%となった衣料業界とは比較すべくもない。生産量は青森県が61%のシェアを占め、2位が長野県だ。

 最近になって、こうした国産リンゴの搾りかすを活用したレザー調新素材の開発が目立ってきた。青森は「リンゴテックス」、長野は「リンゴレザー」の名でプロジェクトが進む。前者は全日空の環境対応型新機種「グリーンジェット」のヘッドレストにも採用されている。

 両プロジェクトとも旗振り役は女性の起業家。リンゴテックスは、青森出身でシンガポール在住の女性が、青森に新会社を作るというグローバルな事業。リンゴの搾りかすはこれまでも堆肥(たいひ)や家畜飼料に使われていたが、情報発信の点では今一つインパクトに乏しいか。環境、女性、地域活性化などのキーワードに沿った打ち出しが注目される時代なのだろう。




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