「全国旅行支援」が始まり、どこの観光地も混雑しているようだ。観光だけではない。先週末、見て回った都心の百貨店やSCは、久しく経験していなかった客数だった。物産展は目当ての商品を求める長い行列ができ、昼時のほとんどの飲食店で入店待ちの列があった。
ファッションフロアも買い物客は多く、特に試し履きのため滞留時間が長い婦人靴の売り場の客数の多さが目立った。「おしゃれは足元から」ということだろうか。旅行支援のお出掛け需要がきっかけとなって、おしゃれに対する購買意欲も喚起されたと思いたい。
改めて、消費者の嗜好(しこう)は多様化していると思う。物産展の行列は一つではなかったし、靴の試し履きもスニーカー、パンプス、ブーツなど様々。飲食店の行列の格差もあまりなかった。消費行動が、かつてほどトレンドや流行に影響されなくなった表れなのだろう。
当然ながら個々の来店目的も多様だ。都心の百貨店、SCが高い集客力を維持してきたのは〝衣食住遊知〟様々な業種・業態を内包してきたため。集客力が低下しているとすれば、来店を促進するモノ・コト・サービスのいずれかが欠落しているのではないか。それぞれに魅力を感じるコンテンツに見直すことも必要だ。「支援」による購買意欲だけだとすれば、館内の活気を継続することは難しい。