ファッション小売りの新規出店が都心で相次いでいる。「ユニクロ」は新宿で9~10月に2店、同じファーストリテイリング傘下のジーユーも10月にマロニエゲート銀座店を出し、天王寺ミオ、ルミネ横浜にも出店する。
海外勢では「アメリカンイーグル」が、10月に渋谷と池袋に2店を出した。3年ぶりの再進出だ。12年に日本に出て33店まで拡大したが、19年に全店を閉じていた。
3ブランドとも、人の往来の多い都心の商業集積地を選んで出ている。国内客のほか、入国者数の上限撤廃を機に増える見込みのインバウンド(訪日外国人)の獲得も狙っているだろう。
ユニクロは世界最多の乗降客数を誇る新宿地区で既存の2店を含め、駅から半径500メートル以内に4店を配置することで、売り上げを最大化する。ジーユーは3都市の新店で接客販売も強化し、強みである「コスパ」の高さを訴求する考えだ。
アメリカンイーグルは、日本を依然として「戦略的重点市場」と見る。20年にECを再開したが、さらに成長するには「自社で直接客の声を聞き、ニーズの変化に応える必要がある」とリアルで再出店することを決めた。少子高齢化にインフレと円安。好材料が見当たらないこの国の市場性がどう見えているのか。大阪・心斎橋に期間限定店を出した「シーイン」にも聞いてみたい。