大手百貨店の個人外商売り上げが伸びている。コロナ禍で店頭が落ち込んだのとは対照的に、ラグジュアリーブランドをはじめ、時計・宝飾、美術など高額品は、いち早く19年度実績を上回った。22年度も2ケタ増が続く。従来の外商担当者によるマン・ツー・マンの接客から、組織やデータの活用で活路を見いだす。
三越伊勢丹は外商改革を加速中だ。これまで顧客に対して1人の外商セールスが接客し、個人の知見や経験に頼っていたが、データを活用してバイヤーや店頭の販売員らを含むチーム化や顧客情報の共有化で組織対応する体制に改めた。
大丸松坂屋百貨店は、アプリやサイト、メールの閲覧などウェブ上の行動データを元に、予測モデルを作成し、購入者だけでなく、未購入者へのアプローチを強める。未購入の潜在顧客リストを抽出し、時計、高級ジュエリーなどカテゴリーを特定して購入につなげる。購買予測モデルを活用した売り上げが22年度に25億円に達する見通しだ。
コンテンツは、旅行や建装のほか、百貨店では扱っていなかった保険・金融、外車、マンションなどに広がる。今までの百貨店は全ての顧客を対象にしてきたため、相手のことが分からない非効率なビジネスモデルだった。外商をはじめとした「顔の見える客」に対して経営資源を集中する考えだ。