《めてみみ》源泉は人

2023/03/07 06:24 更新


 高島屋は8月にグループ商業施設で休業日を設ける。百貨店、専門店の両ゾーンともに日本橋が8月16日、新宿、玉川が同23日に休業する。流山おおたかの森SCを除き、原則8月に全館休業日を設定する。取引先を含む従業員の働く環境の改善、職場の魅力向上による人材確保が狙いだ。

 百貨店はかつて繁忙期を除いて週1回の定休日があったが、00年代以降、年間総営業時間は増加に転じ、休日数が大きく減少した。長時間営業の郊外大型SCへの対抗策だったが、売り上げは伸びたわけでなく、販売効率が下がり続けた。

 店休日を増やしても「社員は元々、週休2日制を実施しており、新たに休みが増えたことにならない」との指摘がある。しかし、店舗で働く従業員は半数以上が取引先の販売スタッフだ。働く意欲や高いスキルを持つ販売スタッフをつなぎとめるためには、直接雇用する社員だけでなく、店舗で働く全員にとって魅力のある職場環境の整備が欠かせない。

 営業時間は一律に減らすのでなく、立地や来店状況、顧客ニーズを踏まえて柔軟に設定する必要がある。加えて8時間の営業で一直(開店から閉店までの勤務)になれば、従来のシフト編成がなくなる。現状の営業時間、店休日を放置すれば、今後の人手不足がより深刻になるのは確実だ。小売業の価値の源泉は人である。



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