中国の香港への政策関与がさらに強まりそうだ。内閣にあたる国務院が香港政策を担当していたが、このほど共産党内に「中央香港マカオ工作弁公室」を新設し、党が直接香港政策を担う体制に変わる。
香港では19年、20年の民主化デモを機に中国政府が「香港国家安全維持法」を公布。その後民主派リーダーが相次いで逮捕され、民主派新聞が廃刊に追い込まれるなどで民主化の動きは鎮静化した。コロナ下で集会などを開けなくなった影響も大きい。
香港の22年末の人口は733万人。前年比で約7万人減った。香港の人口は右肩上がりだったが、20年から減少に転じた。出生数の減少に加え、海外への移住者が増えている。
香港域外に親会社を持つ企業が香港に置く拠点の合計は4年ぶりに9000社を下回った(22年6月時点)。域内の拠点を管轄する地域統括本部は1411社で3・2%減。欧米企業の減少が目立つ。
アフターコロナに向け、繊維事業を手掛ける日系商社の動きが活発だ。香港には欧米ブランドのバイイングオフィスが集まる。欧米企業への窓口で効率的にアプローチできる。各ブランドとも中国、アジア企画を充実しており、攻め手は以前より広がっている。「撤退や縮小の動きが一時はあったが、最近は落ち着いている」。香港の機能を生かし、欧米向けを増やす。