《めてみみ》物価の優等生

2023/03/27 06:24 更新


 スーパーで卵のパックに手を伸ばし、価格を見て、一瞬手が止まる。今年に入って何度か同じ行動をしてしまった。物価の優等生だった卵が、鳥インフルエンザやエサ代高騰などにより、1月から過去最高値を更新し続けている。3月に入っても価格上昇が止まらない。

 ファッション商品の物価の優等生といえば、ストッキング・タイツだろうか。国内メーカーの基幹ブランドの1足売りのストッキングは、30年以上前から数年前まで、500円が相場だった。それが、最近の値上げで今は600円がボリュームゾーンになった。

 秋冬のタイツも同様の傾向だ。国内メーカーの基幹ブランドの1足売りのタイツは23年秋冬、多くが100~300円値上げする。福助の「満足」のタイツは販売開始から約30年で初、グンゼの「サブリナ」も95年の発売以来、初の値上げだ。

 日本経済は「失われた30年」といわれるが、その象徴のようなことがタイツの価格に表れた。ただ、デフレマインドの染みついた日本の消費者は価格を見て、手を止める瞬間があるかもしれない。

 メーカーは30年間、工夫を重ね、価格を据え置きながらも商品改良に努めてきた。実際、昔よりも伝線しにくく、はき心地は良くなっている。手頃な価格で高品質な商品を提供し続ける各社の努力への感謝を忘れないようにしたい。



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