上海では、内装コンセプトに凝った個店が突如現れたりする。例えば、極限まで商品在庫を減らし、間接照明を効果的に取り入れた売り場が「こんな場所に?」という感じだ。見映えが良いので、それなりに投資額も高いのだろう。開業当初は客が頻繁に入店するが、商品の差別化が難しいのか、しばらくすると客が減る。すると中国人の性格なのか見切りは早く、せっかく費用をかけた内装が覆り、在庫を増やして結果に走る。が、やがて撤退してしまう光景をよく見かける。
EC比率が30%近くに達した中国で、実店舗の差別化は本当に難しくなり、新しい大型商業施設でもMD・リーシングの同質化は大きな課題だ。ただ、実店舗販売がまだ70%あると考えると、「出店場所・見せ方・サービス・店内環境・情報発信」のブランディング項目について頭をひねって考えていく必要がある。
そうした中で、サービスレベルと店内環境の強化について、中国小売業が本腰を入れているという。店長・マネジャー教育に加え、顧客実態調査、ミステリーショッパーにかける費用は、日本企業より多くなった。上位顧客のライフスタイルを理解し、その視点を基にしたリーシングの改善点を素早く探り、フロア単位での満足度をより高めようとしている。日本の小売業もうかうかしていられない。