《めてみみ》「東京弁当」の人気

2024/02/08 06:24 更新


 JR東京駅で、JR東日本グループが製造販売する駅弁「東京弁当」がベストセラーを続けている。値段は1850円で、駅弁としては高めだが、販売店で売り上げが1位になることも多い。

 その名の通り、東京の複数の老舗の総菜を詰め合わせた弁当で、駅弁では珍しいお品書きも付いている。旅先などに向かう列車の中で、「少しぜいたくしたい」という客に特に好評だ。

 考案したのは、ルミネ社長で、2000年に同グループの日本レストラン調理センター社長に就いた表輝幸氏。表社長によると、就任当時の駅弁事業は業績が厳しく、再建のために450円の商品を販売したが、「大失敗した」。その後、食材の質と価格を高めた商品を開発して成果を上げ、各地の駅にちなんだ駅弁の一つとして約20年前に1600円で東京弁当を発売し、ヒットした。

 「駅弁は安くて、おいしくすれば売れると思ったが、お客のニーズが違った。お客の多くは東京駅での駅弁に対して、価格の安さよりも価値の高さを求めていた」と表社長は振り返る。ここでの「価値」とは、旅行などに向かう「非日常」の時間に「特別感を味わいたい」という欲求を満たすことだ。

 20年経っても、特別な時に価値の高さを求める消費者ニーズは変わらない。日常着とは別に、非日常シーンを提案するファッションも同様だ。



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