厳しい残暑が続き、野菜や穀物も昨今の酷暑に悲鳴を上げる。業界でも家庭菜園を楽しむ人、時に本格的に農業を兼務するような人は多いが、みな「暑さで野菜がうまく育たない」と口を揃える。「こんなことは今まで無かった」とも。
日本では、この100年で平均気温が約2度上昇したらしい。全国積算の7月の猛暑日は15年前964カ所だったが、今年は4565カ所に達した。暑いはずだ。
「令和の米騒動」が話題になり、政府も増産に向けて舵(かじ)を切りつつある。とはいえこれだけ気候変動が進むと、米をはじめ農産物の生産地がどう変化していくのか予測もつかない。温暖化に伴う天災も年々増えている。これから台風シーズン。警戒を怠らないようにしたいが、残念ながら酷暑、天災は続くだろう。各地の米どころでは暑さに強い品種への転換などが真剣に議論され始めた。
業界でも気候変動に対応したMDの抜本的な見直しが本格化している。もちろん、酷暑への対応を求められるのはアパレル・小売りだけではない。生産する商品やタイミングが変われば、生地や縫製といった川上企業も影響を受ける。製品や産業資材など新たな分野に視野を向ける必要も出てくるだろう。この気候変動はまさに未曾有の事態。「今までに無い」ような事業展開を念頭に入れつつ、立ち向かわなくてはならない。