《めてみみ》会話を通してエネルギーを得る

2025/08/21 06:24 更新NEW!


 近年、デザイナーブランドによる新作発表のスタイルが多様化している。コミュニケーションを取りながら新作を紹介する、ゆったりとした朝食の時間を過ごしながら服を見せる。それぞれの目的を持って、発表の方法がひねり出されている。

 特に増えているのは一般に向けたオープンスタイル。通常は招待状を受け取った人のみが新作を見られるが、広く発信することで新たな可能性を見いだそうとしている。

 6月末の26年春夏パリ・メンズファッションウィークで新作を発表した「アイムメン」もその一つ。ショーの後の数日、パリ市内で一般に向けた新作披露の展覧会を開催した。「ショーは15分で見せることにだいご味があるが、一瞬では見ることができない部分もある。近くでじっくり見てもらいたい」とし、前シーズンから行っている。

 今回は特にテキスタイルが見どころ。着想源は20世紀に活動した日本の陶芸家、加守田章二の作品。根源的な力強さが落とし込まれ、よく見ると発見がある。ランダムにストライプを重ねた生地は、土器のような質感に仕上げられていた。

 デザインチームによる解説ツアーでは、来場者と会話が生まれ、様々な感想を聞いたそうだ。それはデザイナーの気付きとなり、エネルギーを得たという。一般との交流が、クリエイションを活性化する糸口の一つになっている。



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